香月夕花『あの光』読了

初読み作家さん。

母の愛を欲しがるのは、神の愛(無償の愛)を求めるのと同じ。意識では母のようにはなりたくないと思ってはいるが、そこから抜け出せずにいる。主人公の紅の潜在意識にとっては、母の奈津子は教祖なのだ。

愛されないで育った人間は、愛に過剰な執着心を持つ。紅の進んだ道のりは進むべく道になっていた。

人間は自分自身に対して強くなれない。だから強いモノに頼ろうとする。宗教だって一種の依存症だとある本に書いてあった。

初詣で世界平和を祈る人はほとんどいない。自分のことやせいぜい家族の平和ばから祈る。結局は自分だけ良ければいい。そんなエゴイストたちに振り回される紅だが、物事は進み出したら止まらなくなる。

自分を変える一番の方法は地獄の果てまで一度落ちてみることなのだ。他人に依存していては、いつまでたっても地獄からは抜け出せない。あずさや志依と同じように、最後に紅も新しい道を歩んでいけそうなところが救いだ。

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