三島由紀夫『若きサムライのために』読了
私の個人的なイメージとして、三島由紀夫は自決したナルシストで右翼だと思っていた。だからその作品すらも避けてきた。
しかし、『金閣寺』と『音楽』の2作品を読んで、その繊細な文章に惹かれ、イメージが変わってしまった。
一体どちらの三島由紀夫が本当の三島由紀夫なのか、そんな疑問を持っていたところに、神保町でこの本を見つけた。
簡単に言えば、若者に向けた国防論であり、自衛隊論であり、憲法論であり、教育論である。小説では考えられないような強い言葉に驚いた。
持論だが、筋肉を鍛える人は自分に自信がない人だと思っている。(自分が貧弱なので自分に言い訳をしている部分もあるだろう。)三島由紀夫は自分の強い思いを実現するためには、自分の体も強くならないと考えた。しかし、心の繊細さを強くはできなかった。それが自決の一因ではないかと想像する。
結論を言えば、三島由紀夫には色々な面があり、それを統一しようとして苦しんだのではないか。
他の作品も読んでみて、三島由紀夫の生き方の変貌を見てみたいと思った。