一穂ミチ『スモールワールズ』読了
初読み作家。ちっぽけな世界たち。
人はそれぞれ自分の円い世界をもっている。
そして、二人が関係を築けばそこには重なる部分(小学生で習ったベン図)ができる。
家族だって夫婦だって、まったく重なり合うことはない。(胎児のときは母親の円の中にすっぽり収まるが、産まれた途端に徐々に円からはみ出していく。)結婚したての夫婦はお互いにピッタリと重なり合っていると思いたいが、その思いは不幸な結果しか導かないだろう。人にとって重なる部分は絶対必要だが、もちろん重ならない部分もなければならない。その重なり具合(折り合い方)が人間関係の良し悪しを決める。
この本に載っている7つの話も、登場人物たちが相手との距離に悩みながら成長しているように思う。それにしても人間関係は複雑で不思議で難しい。
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