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森沢明夫『虹の岬の喫茶店』第一章『《春》アメージング・グレイス』を読んで

<ネタバレあり>

妻を亡くした父(私)と母を亡くした娘(希美)。母を失った希美は父との付き合い方にまだ戸惑っている。父も娘の気遣いに気づいていて、そんな娘の母親代わりになろうと必死になっている。

本の題名は『アメージング・グレイス』だが、元々この小説のアイデアの元はスピッツの『春の歌』だろう。今回、ユーチューブで初めて終わりまで聴いてみた。

迷っている私に対して亡き妻が残したと思われるCDは、私にしっかり前を向いて歩くように励ましている。

虹をさがす旅は二人にとって、明るい未来への道のりだった。その終点には手造り感たっぷりの喫茶店があった。そして、その店には八色の虹の絵が飾ってあった。一色多い虹は、亡き妻の小夜子さんの魂の色に違いない。

その店の柏木悦子さんが流した『アメージング・グレイス』は「驚くほどの恩恵」という意味を持ち、この喫茶店に出会ったこと、そこに虹の絵があったこと、虹さがしの旅が父と娘の心を近づけたことを表している。

最後に、ケルティックウーマンの『アメージング・グレイス』をユーチューブで聴いた。

バグパイプの音色と女性たちのハーモニー、歴史的建造物と思われる会場の厳かな雰囲気に癒やされた。たぶんレコードでこの曲を聴いた父にとって、この音楽は希美という娘を与えてくれた「驚くほどの恩恵(神様の恵み)」を思い出させてくれただろう。

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