森沢明夫『虹の岬の喫茶店』第四章『《冬》ラブ・ミー・テンダー』を読んで
一番ロマンチックなストーリー。60代独身(結婚歴なし)の主人公タニさんは、悦子さんに15年間想いを寄せ続けた。老いらくの片思いの恋。告白できないのは、悦子さんが死んだ夫のことをまだ愛していることを知っているから。その切なさが痛いほどわかる。
多分(年寄りの口癖)、私はタニさんとほぼ同じ時代を生きてきた。
独身(結婚歴なし)の私は、60歳になり急に中学生時代に好きだった女性に会いたくなった。あのとき伝え切れなかった想いをどうしても伝えたいと思うようになった。これも人生の終わりが近づいてきた証拠なのか?
今の私ならば素直に告白できると思うが、タニさんは最後まで告白することが出来なかった。それでも彼の中に「なんて苦しくて、そして、幸せなことだろうか」という思いがあるのが唯一の救いだろう。
もう恋愛なんかしないと思っていたが、このストーリーを読んで、もう一度恋愛してみたくなった。「2回目の青春」をテーマの小説でも書いてみるか。
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