初めてのビーナス(詩)
光はいくつもの色を携えて
君の裸体を虹色に染めあげる
君は目の前にいるのに
僕は眩しさに耐えられずに
目を閉じてしまう
気まずい沈黙の後
僕はゆっくりと
君の裸体に視線を向ける
古代彫刻のような
神が与えた至上の曲線に
自然と涙がこぼれる
もし君を抱きしめたら
君が壊れてしまいそうで
僕はただ君を見つめる
君は小さな声で
僕に服を脱ぐよう命じる
僕の不格好な裸を見て
君は初めて笑顔を見せる
僕は君の繊細な線を
そっと指でなぞる
吸いつくような肌に
僕は体ごと飲み込まれていく
君の裸体は
しなやかに
なめらかに
僕の体を優しく包む
過去もない
未来もない
今だけの時間を
僕たち二人はむさぼり食う
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