木爾チレン『みんな蛍を殺したかった』読了
『神に愛されていた』に続いて、著者の本は2冊目。相変わらず女性の心の闇を描いている。
女性にとって顔の美醜はその人間の生活や性格を大きく左右する。しかし、顔の美醜だけで性格の美醜が変わるわけではない。自分の生活や性格を変える必要はない、と言える人間がいるとしたら、そんな人間が一番幸せなのだろう。
前半は顔も心もきれいな蛍が、オタクに愛情を注ぎ、家族を失った孤独を親友作りで埋め合わせようとしているかに思える。
しかし、後半から物語は光の世界から陰の世界へと移っていく。
『神に愛されていた』の感想で、「ちゃんと話し合えばうまくいくのに」と書いたが、話し合ってもうまくいかないこともあることに気づかされた。
<ここからはネタバレあり>
→最初の1行に自殺したのが別人だとわかってしまう大ヒントが出てきた。ミステリーを読み慣れた人ならば、すぐに自殺したのが蛍ではないことがわかってしまう。そこが残念。