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悲劇(詩)

悲劇は誰も知らないうちにやってきて
悲劇は誰も知らないうちに去っていった
悲劇の通り道は焼け野原となり
燻った煙と焦げた臭いを放っていた

一人の少年が焼け野原を歩いていた
少年はその壮絶な景色を見て
たくさんの涙をこぼしながら歩いた
少年が去ったあと
涙の落ちた場所から芽が育った
芽は広がり
やがて焼け野原を緑に染めた
しかし
少年がその景色を見ることはなかった

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