『ガルシア=マルケス中短篇傑作選』より『純真なエレンディラと・・・(省略)』を読んで
幻想的な館が焼かれてからは、急に現実的な話へと変化する。
著者が何を言いたいのかはわからないが、私の一番の興味は、エレンディラはウリセスを愛していたのか、それともウリセスを利用したのかという点だ。
純真なエレンディラは祖母に言われたままに体を売り、最後には祖母をウリセスに殺させる。これは純真と言える行為なのか。
私はエレンディラは物語の最後まで純真だったと思う。家という狭い世界の中で祖母の言いなりになっていること、世間の一部としての狭い世界を生きることは少女を成長させた。そして、狭い世界から逃げるためには祖母の殺人は不可避だった。この行為は正しいかどうか判断できる立場にはないが、純真ではなければできない行為だと思う。
少女は誰も知らない場所へ逃げるが、広い世界は純真な少女をさらに苦しめるだろう。そのときエレンディラは純真な少女から小賢しい娼婦になってしまうのだろうか。