住野よる『青くて痛くて脆い』読了
まずは、独りよがりの主人公に頭がきた。すべてを秋好寿乃のせいにして、自分の人生から逃げていた。秋好の努力を、自分は何の努力もせずに、自分の思い込みだけで壊した。
自分のプライドを傷つけたくないから、他人を遠ざけていた時点で、田端楓は自意識過剰な人間だったのだ。
人は自分に素直になれないし、自分に言い訳するのが得意だから仕方ないのかもしれない。
しかし、結果的には大学で勉強よりも大切な経験をした。秋好が田端を傷つけたことに気づいたように、田端が秋好を傷つけたことに気づくことは、自意識過剰の人間にとっては非常に難しい。それを気づけたことは人生の宝物だと思う。
田端が秋好に話しかけようとする場面で物語は終わる。この後どうなったのかは読者に考えさせようということらしい。
それにしても、一番難しいところを読者に任せるのはズルい。著者にはぜひ続編を書いてもらいたい(もう書いていたらごめんなさい)。