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山本文緒『無人島の二人』読了

メメント・モリ。「死を想え」。でも、人は死にたくないから「死」から目を背ける。しかし、「死」は誰にでも必ずやってくる。

小説家は自分の死を客観視できるのか? それが私がこの本を読みたかった理由のひとつだった。

「うまく死ねますように」(P14)と著者は思う。うまく死ぬってどういうこと? この本を最後まで読んで、著者はとてもうまく死んだなと感じた。

病気で苦しむとき、人はそこから逃れるために死にたいと思うときがある。しかし、この本にはそれが一言も出てこない。強い人だと思う。

無人島に二人でいられたことが著者にとってどれだけ心安らぐことだったろう。

最後に。山本文緒は自分の死を客観視しようと努力した。しかし、完全に客観視はできなかった。最初からわかったような結論だが、結論よりその過程を味わい、自分の死を見つめるきっかけになればいい。『ばにらさま』の出版まで生きられて良かったですね。お疲れ様でした。合掌。

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