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伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』読了

今回は短編集。

それぞれ独立した作品であるが、一部で登場人物が錯綜するところは伊坂幸太郎らしい。

表題作『フィッシュストーリー』では、人間の繋がりの不思議(『ポテチ』にも繋がっているが)がひとつのテーマになっている。偶然知り合った、それも一度だけの出会いがそれぞれの人生を変え、世界を救うことになる。まるで「ほら話」のように。出会いがすべて誰にでもわかる正義の方向へ向かっているのも楽しい。

正義という言葉は世界が悪い方向に進んでいるときにこそ使われてきた言葉だ。正義の意味は権力者に都合よく使われ、戦争や紛争を巻き起こす。そして、結局は力があるもの、戦いに勝ったものが正義となる。
そんな世の中を揶揄するように大道の正義を書き上げた伊坂幸太郎に乾杯。

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