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木爾チレン『神に愛されていた』読了

帯に書かれていたとおりに一気読みした。初読み作家さん。Xでよく見かけながらも、今まで手に取らなかった。「なんでやねん」と自分自身にツッコミを入れたくなった。
人と比べることが自分にとってマイナスになることなど、誰でも知っている。それにもかかわらず人に嫉妬心を抱いてしまうのは、人間の業なのだろう。
お互いを天才と認めながらも、行き違いばかりの二人が歯がゆくもあり、二人にこの本を読むように勧めたくなった。最後に天音と冴理はお互いの本音を知る。そして天音は自ら命を絶つ。早く本音を話し合えばどうにかなるのに、人は愚かなプライドからそれができない。光と闇が交互に訪れるのが人生だとしても、あまりにも切なすぎるラストだ。
小説家になる夢を叶えた二人が、夢を叶えたからこそ苦痛を覚えてしまう矛盾。人生はいつもモノゴトを難しくする。
「紛うことなき傑作。」

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