見出し画像

月と黄金の王子様 【2】

「今夜は逢えると思ったのになぁ…」

窓のカーテンを締めながら、ぽつりと呟いた。

今日は朝から雨で、天気予報では夕方には止むと言っていたのに大ハズレ。雨はいつもの残業が終わり帰宅の途中でようやく止んだ。時刻は既に22時を過ぎたところ、残念ながら今夜も夜空は月を隠したまま朝を迎えるようだ。

昨日も逢えなかったのに。

もうすぐ満月だと言うのに、なかなか逢えずにいる。もどかしい。自分ではどうすることも出来ない、ただただ虚しく、それでも今夜もお酒が進む。

明日の天気は曇り、夜には雲達がお出掛けしてくれるのを待つばかり。星空達は今か今かと輝きを秘めているだろう。そんな星々が愛しい、とにかく早く逢いたい。

そんな思いを募らせながら、今夜も眠りにつく。

買っておいた鴨肉とチーズのオリーブ漬けは乾杯の時まで取っておこう。いつもより少し奮発して買ったとっておきのおつまみだ。小腹が空くけど今夜は我慢我慢。明日は少し早めに起きて、フレンチトーストでも作ってみよう。まるでお月様みたいに黄金色に焼ける事を期待して眠りについた。

おやすみなさい。

明日こそは、逢えたらいいなぁ。

#ほろ酔い文学 #小説 #秋 #autumn #ビール #お酒 #フレンチトースト #雨


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?