フラツカ・フウカ

小説を執筆しています。

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最近の記事

【掌編】どうでもいいわ。

 決して渡すものかと、これは私が今まで苦労をして手に入れてきた私のスタイルなんだと、今目の前にいる佐橋カスミの笑顔を見ながら、目線を彼女の来ている洋服に合わせる。 私が好きだったブランドに私が好きだった色、そして私が相手を喜ばすために身に付けた私の笑顔。どれをみても今目の前にいるカスミは二年前、同じ大学で講義を受けていた頃に私だった。 「それ、私が好きだったブランド。カスミも着るんだ、そういうの」 「私ね、ずっと真奈美さんみたいになりたかったんよ。だって綺麗で、堂

    • 【読み切り短編】レンズ越しの君へ

      幼少期から続けていたと胸を張って言えるものが僕には何一つない。 卒業式を終えクラスメイト達が校門に集まり別れの挨拶や記念撮影をしている。それを横目に僕は“彼‘’を待つために写真部の部室へと向かう。 グラウンドに面した旧校舎1階にある部室の前につくと後輩達の声が聞こえてくる。あぁ、今日でみんなともお別れなんだな。そんな考えを他所に後輩達が僕を待ち構えてざわついているのを感じながら部室のドアを開けた。 「部長!ご卒業おめでとうございます!!」と数少ない後輩たちが明るく出迎え