【読み切り短編】レンズ越しの君へ
幼少期から続けていたと胸を張って言えるものが僕には何一つない。
卒業式を終えクラスメイト達が校門に集まり別れの挨拶や記念撮影をしている。それを横目に僕は“彼‘’を待つために写真部の部室へと向かう。
グラウンドに面した旧校舎1階にある部室の前につくと後輩達の声が聞こえてくる。あぁ、今日でみんなともお別れなんだな。そんな考えを他所に後輩達が僕を待ち構えてざわついているのを感じながら部室のドアを開けた。
「部長!ご卒業おめでとうございます!!」と数少ない後輩たちが明るく出迎え