#175 イギリスのクリスマス ~Christmas Tree事情~ (再投稿)
実を言うと去年の今ごろ、一旦投稿していたものの間違って下書きに戻っていた記事がこれです。
消えてしまったかと思ったスキやコメントはそのまま残っていました!
せっかくなので、日の目を見させてあげたいし、今年の分も書き足してみます。
イギリスにはクリスマスツリー農園というものがあります。
年間を通して、このシーズンだけのために、もみの木が育てられる場所です。
クリスマス以外には誰も見向きもしていないのに、入り口のゲートが開く11月からは、クリスマスにツリーを求める人たちで賑わいます。
農園を回って、まだ土に植わっている木々から「これこそ私の木!」という出会いを探すのです。
ちなみにイギリスでは、”Pick your own strawberries” farm (自分のいちごを摘む農園)と呼ばれる場所がありますが、日本の食べ放題と違い、こちらでは勝手に食べられません。摘んだ分を計量し、重さ分の料金を支払う仕組みになっています。
それと同じ感覚で、もみの木ならば、”Cut your own Christmas tree” farm (自分のクリスマスツリーを切る農園) となり、園内から希望する木を切って、その丈に応じた金額を支払います。
もちろん、時間短縮のために、農園併設のお店で切って並べられているツリーから好きなのを選んで買うこともできます。
生の木を自分で選んで飾るなんて憧れますよね。
なにより、もみの青々とした香りや爽やかさが子どもたちのクリスマスの思い出に結びついていくのではないでしょうか。
私は、「ランドローバーのようないかつい車の屋根に、買ったばかりのクリスマスツリーを括りつけて森の外を滑走する‥‥」
その情景にむしろ強い憧れがあります。さあ、クリスマスだよ、と家路を急ぐワクワク感ですね。
実際には、スーパーマーケットの入り口ででも生の木は買えてしまいます。
忙しい現代人にとっては、食料とともに調達できる方が時間と手間の節約になるのだから仕方がない。
でもちょっと味気ない‥‥( ;∀;)
先日どなたかのnoteで、IKEAの生の木を買ったお話がありました。
(追記:ごきげんママさんのこの記事でした。選んでいると、他の人の選んでいるもののほうが形がよく見える‥‥ 同感しきりでした)
買った木はご自分で梱包したと書かれていたことにちょっとびっくりしました。
イギリスのツリー売り場で必ず見かける、こんなものがあります。
天下のIKEAさんにはこれを使っていただきたい気がします‥‥
網はごみにならないのか?
‥‥私、家庭菜園の鳥よけに欲しいくらいです。
さて、生の木を飾るにあたって、大切なことがあります。
それは、木の切り口を固定するスタンドに立てるだけではよくないということ。木に水を与えられないからです。
室内の暖房によって、そのうち乾いた針葉がパラパラと落ちだします。それが自然の摂理とは言え、かなりイラっときます。
クリスマスツリーの足元は、家族のために用意したプレゼントや、いただいたプレゼントをクリスマス当日まで飾っておく場所なのです。
クリスマスを迎える前にせっかくのプレゼントの上に針が落ちるのは避けたいところ。
これから生の木を買おうと決めたなら、スタンドは水を入れられる構造になっているものをお勧めします。
このようなものだと間違いないと思います。
そうして家々に飾られたツリーがいつまで飾られるかというと、クリスマスの25日から12日目の夜までという伝統があります。
それが1月6日ということになります。もちろん家々で決めればいいことなのですが、だいたい6日に近い週末に一気に片づけるのもありだと思います。
日本ではクリスマスが過ぎるとすぐに、門松やらしめ縄など、お正月の準備に入るので、クリスマスムードは一夜にして一斉に消えたように記憶しています。
ですから、イギリスは1月6日まではまだクリスマス期間なのだと聞くと、なんとなく驚かれるかもしれませんね。
そして新年6日以降、自治体が決めた日の朝までに、各々が近くのツリー収集場まで持っていけば処分してもらえます。
お金さえ出せば、クリスマスツリーはどんなに大きなものも素敵なものも選べます。
ただ、ほんの一ヶ月間の「祭り」のために何年かけてあの木が育てられるのだろう‥‥、と調べてみたら、1.8mの高さのものなら8~10年かかるのだそう。
そして「祭り」が終われば、英国内で600万本がまだ綺麗なままで「ゴミになる」、そんなことに心が引っ掛かってしまったのです。
自治体によっては機械に入れチップにし、リサイクル活用しているようですが、こなせる量に限りがあり、実際には多くが埋め立てられます。処分する自治体にとって木一本につき£2.32 (約350円) の埋め立てコストがかかるという驚きの記事を読みました。
しかもです‥‥自然の木は人口のクリスマスツリーよりは環境にいいと思っていたけれど、埋め立て処分されるならば、2mの木1本が分解に排出されるメタンガスは二酸化炭素16㎏に相当するのだそうです。(The guardian 参考)
生のもみの木は伝統的だけれど、今の時代にまだ使い続けるのは経済にも環境にもちょっと無理を強いているのかもしれないと思います。
我が家にはチャリティーショップで買った中古の人工クリスマスツリーが十分に機能していました。
小さなコーヒーテーブルに乗せて使えば天井近くまであるサイズだったし、形も完璧でした。
でもやはり一人また一人と子どもが家を離れていくと、いろんなものを縮小したくなりました。
実はその年はなぜだか腰が上がらず、クリスマス間近までツリーを飾ってもいませんでした。
立ち寄ったガーデンセンターで鉢植えのツリーを見た時、「小さくてもいいから生きたツリーがいいのでは」と思ったのです。
7年前のことでした。
そこに並んでいるのは、ほぼ売れ残ったものなのか、なんだかいびつなものばかり‥‥
そんななか、家族の意見が一致して家に連れて帰って来たのが、この子だったのです。
もちろん、それまで使った人工のツリーはチャリティーショップに持っていきました。今もどこかのお家でクリスマスを迎えていると信じています。
あれからこの木は庭で時を過ごし、毎年クリスマス期間になると家のキッチンでおめかしをします。
その年々の気分でオーナメントも変えてきました。
そして去年、野生の赤い実を頂いてきて、巻きつけてみました。それが可愛かったし、クリスマスの後はそのまま庭に出しました。片付けが信じられないくらい楽だったので、今年もこのスタイルでいっています。
夏に若芽を産み、根っこも成長し、何度か鉢のサイズを大きくして植え替えてきました。鉢植えを買った当初の青々しさに比べ、いまでは枝が目立ちます。節くれだったおじいちゃんのようだと言えなくもありません。
人工のツリーの完璧な三角に比べて、私たちが希望する場所から新しい針葉が生えてこないのも、いかにも「子は親の思い通りにはならない」を地で行っています。
それでも、このクリスマスツリーが家に来てからというもの「今年はツリーどうしよう」と考えることなく、毎年クリスマスを迎えられました。これこそがサステイナブルと呼ばすして何でありましょう。
6年間買うはずのものを買わないで済んだのでお金も節約できました。
以上。これほどのチョイスがあるイギリスにいながら、我が家のクリスマスツリーはやっぱりこの子なのだ、という
そういうお話で括りたいと思います。 (2021年12月)
そして、今年。
この夏のヨーロッパは熱波と干ばつで、緑の野が茶色になった、と言われていました。日本滞在でひと夏家を空けるにあたり、庭の鉢植えへの水やりというミッションがあり、長男が留守番 (House sitting) に来てくれました。にもかかわらず、去年まで愛でた節くれだったおじいちゃんツリーが、厳しい暑さで肌つやを失った感じがあり‥‥
12月まで様子を見たのですが、完全復活ならず。
クリスマスツリーというと緑々としているのが基本かなと思い、2代目鉢植えツリーの導入と相成りました。
おじいちゃんツリーもよく頑張ってくれました。そのうち庭でもっともっと大きな鉢に植え替えようと思います。
流木のツリー、今年も作りました。絶賛販売中です。
みなさん、暖かいクリスマスをお過ごしください。
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