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#8 大切なのはエンパシーと品位だとわかる対比 。生放送事件への国民の反応

ヘンリー王子とメーガン妃が英国王室に投げかけた波紋は、日本でも相当話題になったと理解している。

この話題に関心が集まっているうちに、
①メンタルヘルスを抱えた人にどれだけ寄り添うことができるか。いかにサポートが大切か。
②人種差別は自分と関係がないのか。その本質にあるものは何なのか。

この2点を、社会のみんながどう感じ、なにが大切でなにが学べるのかを考える機会になってほしい・・・

そんなことをたくさん考えている。
そのくらい心が動いている。
ふだんから英王室も、セレブも興味がないのにもかかわらずだ。

反対意見も結構。
だけど、私の意見をとりあえず聞いてもらうことに価値があると思って書いている。

『”売る”目的だけで書かれた報道を鵜呑みにしてこなかっただろうか』あるいは
『自分が果たして”他人の靴を履いてみる”意識を持ったことがあっただろうか・・・』

今、自分を振り返ってみることは本当に大切だと思う。


ヘンリーとメーガンの独占インタビューがあった後に、公の放送でとても影響力のあるプレゼンターであるピアーズ・モーガンが、メーガンが抱えたという、”ずっと死ぬことを考えた”ほどのメンタルヘルスの闇を、全面的に「嘘」だと否定したのだ。

これを受けてメーガンが、自分たちの立場云々よりもまず、ピアーズの発言が今本当に助けを必要としている深刻なメンタルヘルス疾患の当事者たちにどんな影響を及ぼすのかを懸念した。そしてテレビ局ITVに正式な抗議を入れたという。
当日だけで4万件以上の抗議が視聴者からITVに殺到している。ピアーズは、「言論の自由」を主張して、この仕事を降りた。

火曜日の朝テレビで起きたことはここ ↓ から見てほしい。

それに続いて、Metroというメディアで、Alicia Adejobiという黒人女性ジャーナリストによって書かれた記事を翻訳してみた。

以下がそうである。


原題 "Alex Beresford deserves to replace Piers Morgan on Good Morning Britain"      ーWednesday 10 Mar 2021 3:01 pmー

メーガン・マークルがメンタルヘルスについての告白をしたことに対するピアーズ・モーガンの発言。これを受けたアレックス・ベレスフォードの上品な批評は、もしこれが仕事のための面接であったとしたなら、これまでで最も素晴らしい、意図しなかったオーディションとなった。

グッドモーニングブリテン(以下GMB)の常駐気象予報士(アレックス)は、彼の同僚(ピアーズ)に挑戦し、対戦相手が怒りに任せて席を蹴ったその場で、汗さえかかずに、彼自身が受けてきた人種差別の痛みを共有したのだ。

瞬時に炎上することになったこの衝突は、たちまちアレックスをヒーローの座に昇格させ、ピアーズの5年以上にわたる情報番組のホストの座は、前代未聞の劇的な対決で幕を閉じた。
それはまた、アレックスがちょうど数時間後にGMBを辞めたピアーズに取って代わるだけの器であることの呼びかけにつながった。

しかし、討論の最中に、まさに際立った瞬間があった。
彼らの運命的衝突の真っ只中に、ピアーズは、自分こそがアレックスがその朝パネル席に座っていられる理由であると切り出した。「私は君が(私の携帯に)送った思慮深く含みのあるメッセージを読んだから、今日君をその席に座らせたんだよ。私達が本番で思慮深くて含みのある会話ができると思ったからだよ」と、CMの後、自分の席に戻ってきたピアーズが、アレックスに説明した。

当時(彼がニュース番組をやめる数時間前までは)、ピアーズは番組という船を支えるアンカー (錨)であり、否定しようのない視聴率メーカーとしてGMBの門番だった。彼がプロデューサーにその日にゲストとしてアレックスを招待するように言えば、そうなる可能性は高い。

しかし、それが事実であっても、アレックスは彼自身の実力でその座に着く値以上のものがあった。

王室の人種差別スキャンダルまたはメーガンマークルのメンタルヘルスについてのピアーズの排他的見解に対して、異議を唱えること。この他のGMBのキャスター達の誰一人としてできなかったことを、この気象予報士が、その独白を届けることで完璧に実行したのだ。

とどのつまりは、ピアーズの最大の成功は、激しい口論によって視聴者の怒りをかき立てるということだけではなったか。

アレックスはシーズン中のプロのように彼の役割を果たしたではないか。
アレックスは、メーガンに対するピアーズを批判し訴えた1分の間に、価値のあるニュースキャスターに必要な成熟度、優雅さ、雄弁さ、レベルの高さを示した。
白人に人種差別を説明することはとても疲弊すること。とりわけ昨年のような出来事 (Black lives matter)の後には、ますます消耗することなのだ。

にもかかわらず個人的な人種差別の経験を同僚に話したのだ、しかも全国放送で。これほどのトラウマのレベルを経験するのは、ごく一部の人だけだろう。

それでも、アレックスは、多くの人が感情が高まると維持するのが困難であろうことを、見事な度量のプロ意識ですべてやってのけたのだ。

私を含めソーシャルメディア上の何千人もの人々に対して、アレックスは、ステップアップしてスザンナ・リードの横で正規のMCとして座れる器であることを証明してくれた。たとえ連日でなくても、少なくとも定期的には。

主要なニュース番組で、白熱するパネルを統率することは、政治家や有名人など、あらゆる種類の二極化した人物に立ち向かわなければならず、彼らへの説明を恐れないことを意味する。
ピアーズに説明する一方で、アレックスは正直さ、強さ、暖かさを示した。これは、討論の後で明らかに彼を支持した反応を観ればITVの幅広い視聴者に届いたのが明らかである。

彼がパネルの常連になることは間違いないことだ。アレックスは、番組に欠けたメインプレゼンターの穴埋め以上と見なれるべきであることを正当化したのだ。

黒人または混血の人間が勝つことは、コミュニティ全体の勝利のように感じる。アレックスの名前は帽子に投げ込まれた。ランヴーィル・シンは、ピアーズの降板後、スザンナと一緒に番組進行を務め素晴らしい仕事ぶりを見せた。
ただし、この役目は包括的な割り当てを満たすためだけに考慮されるべきではない。二人の候補者は仕事に幅を持っている必要があり、それは両者が明らかに持っている。

ピアーズは場をかき回すことは知っていたが、アレックスは落ち着きと雄弁さが大いに役立つことを示してくれた。

https://metro.co.uk/2021/03/10/alex-beresford-deserves-to-replace-piers-morgan-on-good-morning-britain-14220491/ より翻訳させてもらった

トップ写真出典:Rex


アレックス・ベレスフォードがあの場面で見せた品位は、個人的恨みに執着し、人種差別を理解しないピアーズの無知と傲慢さに勝利したのだ。

この出来事がこれからの英国メディアにおけるターニングポイントとなることを願ってやまない・・・

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コノエミズ
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