生理用品タンポンの税率だけ高いのはおかしい...!ドイツの法律を変えたクリエイティブなPR 【PR研究所077】
概要
ドイツには「タンポン税」が存在することをご存知でしょうか。
ドイツを含む諸国が、生理用品タンポンを贅沢品として定めており、通常の税率7%に対してなんと19%もかかっていたのでした。ドイツは日本よりも比較的「大きな政府」として動いてきた歴史があります。ゆえにもともと税金は高めですが、タンポンだけを贅沢品とするのはちょっとイワカンありますよね。
そんな中、ドイツの衛生用品ブランドのThe Female Companyは、この問題について広く知ってもらい、現状を変えるためプロジェクトを始めました。
それは、通常の税率としてみなされる「本」の中にタンポンを埋め込むことで問題提起をしていくというものでした。
課題・背景
①生理用品タンポンが、通常の税率7%に対してなんと19%もかかっていた。この現状を周知させ、行動に起こしたい。
②生理用品をオンラインで販売する企業、The Female Companyのファンをつける。
③業界全体を盛り上げる必要があり、法律の改正をすべきだ。
ターゲット
ドイツの女性たち
目的
①現状を周知させ、考えてもらうとともに実際に行動に移してもらい法律を改正させる。
②The Female Companyの生理用品を選んでもらうようにファンをつける。
施策
通常の税率としてみなされる「本」の中にタンポンを埋め込むことで問題提起をしていきました。15個のタンポンを付録とした本「The Tampon Book(タンポンブック)」を売り出しました。
書籍では、生理やセックスにまつわる、面白くてためになるような情報が載せられています。
また、法律の改正を目指すために署名を集めました。
結果
cnet japan、ライター本田哲也さんによると
「The Tampon Book」は、発売されるや即日完売。1週間足らずで増刷がかかり、瞬く間にドイツの「ベストセラー」となった。
また署名は数多くのインフルエンサーやメディアを通じて15万以上集まり、国会で法律の改正まで実現したそうです。
(動画よりスクショ)
PRの事例として注目すべき点
PRの事例として注目すべき点は主に2つあります。
1つ目は、PRの中でも法律の改正を目指す「ロビイング」という手法がとられている点です。「ロビイング」は法律の改正を目指した、政府や行政とのリレーションズ活動です。
(参考|井之上PR「ガバメント・リレーションズ」)
法律を改正することで、立ちはだかっている原因を取り除いていくような流れです。
2つ目は、「ロビイング」がクリエティブな魅せ方と密接につながっている点です。法律の改正ともなると、おおごとなので社会全体の話題にする必要があります。
今回は「タンポンブック」という税率の"抜け道"を示すクリエイティブな魅せ方によって、よりたくさんの人が興味関心を持ちました。結果として15万人を超える署名が集まったのも、どれだけ社会全体の話題にできるかを設計したからこそだと考えます。