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ドラフト会議を見るにあたって――連載「棋士、AI、その他の話」第32回

 今年もABEMAトーナメントが始まる。初回放送はドラフト会議。ここが一番の見所と思うファンも少なくないだろう。本稿ではこのドラフト会議を見るにあたって、知っておくとより楽しめるポイントについて書いていく。

ドラフト会議とは

 ABEMAトーナメントは棋士が3人1組でチームを組み戦う団体戦だ。そのチーム編成はドラフト制により行われる。順位戦クラス上位から順にリーダーが決定され、各リーダーが仲間として取りたい棋士を指名していく。指名がバッティングしたらくじ引きで選ぶ。プロ野球等で行われるものと同じシステムだ。
 重要なのは、各リーダーがどのようなチームを目指すのかという点だ。ただ勝利を求め強い棋士を選ぶ者もいれば、チームとしての調和を重視する者もいる。何らかのテーマを設定しそれに沿う者もいる。ファンのためエンタメに振り切る者もいる。ここに各人の思想が透けて見え、大変に盛り上がるのがドラフト会議という舞台なのだ。

チーム数の減少

 今年はチーム数が15から12に減った。とはいえ元に戻っただけでもある。発足当初は12チームで行われていたシステムを2021年から15チームに変更した背景には、一人でも多くの棋士を見たいというファン心理があるだろう。ABEMAトーナメントは普段はあまり表に出てこないような中堅棋士、あるいは売り出し中の若手の活躍や人となりを見ることができる貴重な機会だ。その人数は多いほうが良い。とはいえチームが多すぎて長期化する問題もあったし、また決勝トーナメントが10チームになるため、いわゆる「0回戦」を組まねばならない歪みも生じていた。
 今回のチーム数調整が棋戦にとってプラスとなったのかどうか、それは今後の進行を見て各自が判断すれば良いと思う。

選ばれたリーダー、選ばれなかったリーダー

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