見出し画像

共感を呼ぶダメ芸術学部生の生態 ――O仮名だモ『へるしーへありーすけありー』


(1巻P43)

 わかる、わかるよ……。

 O仮名だモ『へるしーへありーすけありー』は芸術学部に住み着くダメ人間たちの様相を描いた作品です。特徴的なのは、その描写にフィクション感がまるでないこと。

(1巻P13)

 コミカルに描かれていますが、確かに現実の芸術学部生も驚かなさそうだなという説得力があります。これ、作者の実感がこもっているように思うのですね。画家としても活動しているように、おそらく作者は芸術学部出身なのでしょう。そうでなければ描けない作品だと思います。

(1巻P27)

 芸術学部の特異性と生徒の生態が実に端的に表されています。私も芸術学部ではなかったですがオタク系ダメ人間の集まるサークルに所属していたので、雰囲気はわかります。そういう人、きっと多いのではないかと。
 ただ、ダメ人間ではありますが、性格が悪いわけではないのですよね。

 (1巻P19)

 ごく自然に「女の子を一人で放ってはおけない」と考えるあたり、倫理観のまともさがうかがえます。だからこそ本作は気持ち良く楽しく読める。不快感がないところが大きな美点なのです。まあ、生活は終わってるのですが。

(1巻P21)

 いやでも一人暮らしの大学生なんてこうなっちゃうよ。しかたない、しかたない。そう思ったあなたはもう仲間です。共に祝いましょう。
 大学時代をぐだぐだに過ごした人なら刺さる要素満載の一作です。思い当たる人は、ぜひ。

 最後にいちばん共感したシーンを紹介します。

(1巻P62)

 ほんとこれ。自分を褒めるとか、できるわけなくないですか?


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集