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2千円の手料理と彼にとっての私とは
仕事中の彼に言った、
「じゃあ今日はご飯作って待っとくね。」
彼が仕事で私がオフだった。
最近二人で外食が続いていたから
今日は家で食べたかった。
そんなに時間がなかったので、今日はパッと豚キムチを作ろうと思ってスーパーへ。
自分ならソーセージでいいところを、豚肉に。
自分ならセブンプレミアムの酎ハイでいいところを、一番搾りに。
というか自分ならコンビニのカット野菜にキムチのせて食べればいいところを、野菜買って炒めて豚キムチに。
自分なら買わないポテチと、自分なら食べない豆腐。
あれやこれを買ったら
¥2.200+袋代¥5かかった。
前二人で行った餃子は、割り勘しても¥1.500程だった。
自炊って一緒に生活してないと、1日限りだと割と高いことに気付く。
まだ同棲していない私は
合鍵で彼の部屋に入った。
普段料理してる生活感のある台所。
壁にはエプロンがかけてあって勝手に借りた。
使い慣れてない3つもあるガスコンロ。
どこを押したらどこの火がつくのかも曖昧でちょっと怖かった。
豚キムチは失敗したことがない。
だから今回もそれなにりいけた。
彼が帰ってきて、
「お!いい匂い〜〜〜!」
と言うてくれるから得意げになる。
机に差し出す
豚キムチ、ニラとツナあえ、冷やしトマト、豆腐、米、一番搾り。
「いや違うんよ!」
???
え?
「一番搾りはもっと贅沢な日に飲むもんなんよ〜こんな平日に飲んじゃダメなんよ〜一番なんやで?」
、、、、☺︎
「じゃけ最近、麦とホップ飲んでたん?買っとるよ、麦とホップも☺︎」
彼が一番搾りに拘ることは前からなんとなく分かっていた。
一番搾り以外の美味しいビールを、彼はよく飲んでいた。
二人で私が作ったご飯を食べる。
美味しそうな顔をして食べてくれる彼が愛おしい。
無駄に三号炊いた米を、彼はお代わりして二杯食べた。米を炊いたくせして夜は炭水化物取りたくなくて私は食べなかった。
毎日が一番搾りな日ではない。
むしろ、プリン体ゼロのビールがいいのかもしれない。
毎日外食も違うし、
だとしたら手料理も正解だよな。
一番搾りの日も、麦とホップの日も、プリン体ゼロの日も、外食の日も。
私は彼の側にいて、
彼は私をギュッとしてくれるんだろう。
彼のどんな日も、私は変わらず居ていいんだろう。
私は彼に何をしてあげられているのか
たまに分からなくなる。
セックスと、彼のアレを口ん中で出してあげてることしか無いんじゃないか、なんて思う。
せめて一番搾りを買ってあげようと思ったら
贅沢だからと断られる。
側にいるだけで良いなんて
そんなの、やるせない。