他者の靴を履く体験をふたたび。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』
会社への行き帰りの電車内、前巻に続いて心に響く言葉ばかりなので(ページ折りたくもなく)ありったけの栞になりそうなものを差し込みながら一気読みでした。
一番心に残った言葉が学年委員の面接に備える息子君が、面接準備をしているところに出てきた言葉。リーダーの資質についての回答のところです。
「導くということは、前から引っ張るということだけではなく、ときには一番後ろに立ち、後部が離れてしまわないように押し上げること」
この目線がこの本の魅力なんだろうなと思います。弱者、強者の分断とかそういう手垢のついた言葉でない、隣にある問題が生活者の目線で語られています。
いい味を出していた「うちの息子」は思春期まっただ中、難しい年頃になりつつも、まだまだ子どもの部分も残っています。目を離した隙の机の散らかりようなんて、「あー、こんな立派な子どももこんななのね」と安心しちゃったり。
同年代の子どもを持つ親にとっては、どこか自分の親子関係を照らし合わせながら読むところもあるでしょう。
内容情報には「完結」と書かれていますが、まだまだここからコロナ禍に突入する時期。きっとこの続き、息子くんの日常をどこかで読めるに違いないと期待をしています。
おまけ。
1巻も文庫になってまだまだ売れています。30~40代の子育て期間まっただなかという読者が多いのが最大の特徴です。佐藤愛子とか、年輩の人に読まれるエッセイってのは結構あるのですが、やはりフィットするコンテンツさえあればまだまだエッセイ、ノンフィクションも売れるなあと感じつつデータを見ている毎日です。