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きたきた捕物帖がかえってきた!『子宝船』ほか最近読んだ本
『子宝船』
最近は宮部さんも圧倒的に時代小説の比率が高くなっていて、現代物は杉村三郎シリーズくらい。個人的には現代が舞台のものをもっと読みたいのですが、小説を超えるような事件が多い昨今だと難しいのでしょうかねえ。
この「きたきた捕物帖シリーズ」はシリーズ2作目、割と若いシリーズです。時代物だと三島屋シリーズが出ているのだけど、こちらは謎解きより怖い話に寄っているので、謎解きものの新シリーズとして期待しているシリーズです。
今作は、以前からの馴染みの登場人物が時代を超えて登場しているので、ぼんくらシリーズなどの昔からのファンにはファンブックのような作品になってました。
宮部さんはとにかく悪意を描くのが上手いと思います。AだからBをした、というわかりやすい故意や過失でなく、どこまでいっても、事件の真相にたどり着いたとしても、人の心の奥底に広がっていて理解することの出来ないどす黒い感覚が読者を包みます。それが何より怖い。(杉村三郎シリーズに似ているところを感じました)
解決出来ない悪意を残し、このシリーズがここからどこに行くのかも楽しみなところ。
ノンフィクションではHONZ先月出た本でも紹介した『ジョンズ・ホプキンス』
『世界最強の研究大学 ジョンズ・ホプキンス』
私なぞ、コロナ禍になって「ジョンズホプキンス調べ」という文字を見て初めて知ったような次第だったので、いったいどういう大学で、どうしたらあのようなコロナ禍への対策が取れたのか、世界のコロナ対策を牽引できる立場になれたのか…といった点に興味津々でした。
本の内容としては”どういう大学”という部分の説明はほとんどなく、かの大学がコロナ禍(というか感染症)にどう対峙していたかというものでした。その点は少し残念。
それにしても、2018年の段階で感染症パンデミックを予測していた(もっともビル・ゲイツもずっと言ってるか…)ところから、実際に発生をキャッチしてからの動きなど、国や大手企業では考えられないような決断の早さには何度も唸らされます。
”使命を持って動いている”という以上に「いま起きている事を正確に知りたい」という止められない好奇心に突き動かされている感もあります。
ひとつの真実と多様な解決方法を、様々なジャンルの最高峰の知識をもって編み出していく研究施設、といったところでしょうか。
コロナ禍後、入学希望者が急増しているそうですが、こういった存在に光があてられ、資金面・人の面など様々な強化がなされていくのはありがたいことです。