うつくしい食べもの/琥珀糖
ただうつくしいからという理由で購入した琥珀糖はしばらくテーブルに置かれたまま
淡いピンクと
乳白のいろ
強い萌黄
透明なブルー
そして
レモンイエロー
全て人工の着色だけど、うつくしいのは同じ
不規則な多角形が
規則的な多角形の箱に収まって
射るように差し込む先にある砂糖のかたまりたち
解けることも腐ることもなく
同じようにずっとそこに
うつくしい食べもの
うつくしいとかんじる気持ちと
罪悪感が交互にやってきて
同じ景色なのに、自分の心がいつもちがうことに気づく
夏の部屋に置かれた琥珀糖
どうしようもないとき、たとえば
食べることを楽しむ余裕がないとき
口に放り込んでみる
最初は乾いた音だなあと思った
でも しゃりしゃりとした歯触りは気分がよくなる
静かなこころを取り戻していく
その後にやさしい甘さが広がって
このうつくしい食べものは 想像以上に
甘い
それはじわりと余裕のないこころを蝕むように 味わうというひと時を連れてくる
もっと自分を甘えさせてやる
うつくしい食べもの/琥珀糖
琥珀糖 京こごり-夏-
高野屋貞広
https://www.takanoya.co.jp/sp/shopping/?pid=1397803354-341494
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