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子どもと関わる仕事をなおざりにされてきたことについて

私は今、放課後児童クラブ(いわゆる学童クラブ)が併設された児童館に、保育士として勤めている。
具体的な仕事内容や施設の機能、子どもたちと関わる上で感じること等については別の機会に書きたいと思っているので、今回は割愛することにする。


子どもはかわいい。
それは間違いないし、私自身そう感じているけれど。
けれども。

いろんな子どもがいて、好きだなあと思う子もいればそうでないと感じる瞬間もある。
本当に楽しい瞬間、嬉しい瞬間もあれど、本当に難しい場面もたくさんある。

自分の思い通りにならないと気が済まない子、説明をしても中々伝わらない子、突然怒りをぶつけてくる子、感情をコントロールできず暴れる子、そしてその保護者への説明や対応、等々。
もちろん、日々試行錯誤しながら、どんな対応がいいのか考えながらやっているつもりだけれど。


だからこそ、好き嫌いで仕事してるわけじゃなくて、なるべくみんなに、ひとりの人間として同じように接することが大切だと思っているし、一人ひとりが必要としている関わりを持つことが子どもたちにとって大切だと思っているからしているわけであって。

「子どもが好き」「子どもが可愛い」という感情論だけで保育の仕事ができるわけじゃない、というのは常々思っている。
それはどの仕事にも通じる部分はあるのかなとも思う。真のプロフェッショナルは、好きだとか嫌いだとか、やりたいとかやりたくないとか、そんな事は仕事には持ち込まないのだ(なんの話?)。


そして知らない人に、自分の仕事を紹介する際に必ずといっていいほど言われる、この言葉。

「子どもって可愛いよね〜」

その言葉の奥には、「子どもが好きだからその仕事に就いたんだね」「子どもと接する仕事って楽しそうだよね」という意味が含まれているように感じる。


保育の仕事の楽しさは、後からついてきたと今では思う。
もちろん、仕事において楽しさというのはいくらあってもいいと思うのだけれど、一番に“子どもが可愛い=楽しそう”という安直な先入観で物事を決めつけるのだけはやめていただきたいなと思っている。
そしてどうしても“子ども可愛い=楽しそう=楽な仕事でいいよね”という斜に構えたような受け取り方をしてしまう自分もいる。
中々の卑屈さだけれど、ここにはジェンダーバイアスも根深く絡んでいるのではとさえ思う(「子どもって可愛いよね〜」と言ってきた人も、そんな風に思って言ったわけではないかもしれないし、深く考えていなかったかもしれないけれど)。



前置きが長くなったけれど、ここからが本題で。


こういう仕事をしているからこそ思うのは、親であろうがなかろうが、子どもを育てるというのはみんながやるべきことであり(べき、というのは少し言い過ぎかなとも思いつつ、社会的な役割としては誰しも持っているとも思うので)、一昔前の日本のような、男性は仕事を女性は家庭を、といった典型的な性別役割分業は、人が生きていく上での一つの役割を完全に放棄して、「自分は不完全です」と自ら謳っているようなものなのではとさえ思う。

そもそも生まれてから大人になるまでの期間は、人が生きていく上で何よりも大切な通過点であるにもかかわらず、なぜ女性ばかりが押し付けられてきたのか?

今、共働き家庭が増えて、女性の社会進出・男性の家庭進出(どちらの表現も中々に滑稽だけれど)は増えてこそきたけれど、現状としては根強くその意識が残っているのを、子どもやその保護者たちと関わる中で日々痛感する。
もちろん中には、母親と同じようにひとりの親として育児を担っている父親もいるので、そういった人が増えたら嬉しいなと思うけれど。


そして、これは子育てに限った話ではない。

“人が生きていく上で何よりも大切な通過点”に携わる保育という仕事を、低賃金で、尚且つ大半を女性たちに押し付けてきたことがただただ残念だなと思う。
保育や教育なんて誰にでもできることと軽んじられていることに他ならないのだ。もしくは面倒でやりたくないから他人に押し付けているだけなのか、その辺はもう知らないけれど。

そのツケって絶対に回ってくるんですよ。
というかもうすでに回っている。
少子高齢化、人口減少・・・こんなにもケア労働の搾取をしている日本で、それでも尚子どもを産みたいと、一体誰が思うだろうか。
いずれ日本は滅ぶのでは。


そもそも保育の仕事は、“楽しい”と一括りにするにはあまりにも複雑で、繊細で。
子ども一人ひとりによって関わり方、対応の仕方を合わせていかなければならないため、中々高度な技術を要する仕事だと思う。

にもかかわらず、未だに“子どもと遊ぶだけの仕事”と思い込んでいる人がいることに、心底がっかりする。いかに実情を知らないか、そしていかに興味がないかがわかる。
私だって、自分の仕事のことしか知らないけれど。なんていうか、これが教育の敗北というやつか。


ワンオペ育児のしんどさを多くの女性が声にあげるようになり。
日本人女性の家事育児負担の大きさがデータとして可視化され。
少しずついい方向に変わってきているとはいえ。



結局、何が言いたいかというと。



お願いだから、保育士の賃金、いい加減上げてくれ。
こんなにも頭と体力を使う仕事を、低賃金で、一体誰がやりたがるだろうか。
やりがいの搾取も、いい加減にやめてほしい。
このままだとみんな、辞めるよ。


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