戦略マップを用いて、行動内容を整理する

皆さんの法人、事業所の事業計画書はどのような視点で作成されていますか。

「戦略マップ」で行動する目的を意識する

経営理念の実現のため、「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源ごとの視点や「経営満足(CoS)・利用者満足(ES)・職員満足(CS)」のいわゆる三者満足の視点など、さまざまな視点で課題を整理し、それぞれに重点目標を掲げ、行動内容(アクションプラン)を詰めていっていることと思います。
SWOT分析など、法人・施設の強みや弱みから戦略的な視点も盛り込んで作成しているのではないでしょうか。

しかし、「一つ一つの行動内容(アクションプラン)になぜ取り組むのか?」ということがしっかりと現場職員レベルにまで落とし込むことができていますか。
事業計画書を戦略的なツールとするためには、経営理念を浸透させて、目的意識や意義をしっかり押さえる必要があります。
そのための整理の仕方として、「戦略マップ」という考え方をご紹介します。

本来であれば、「戦略マップ」は”バランストスコアカード(以下、BSC)”というマネジメントシステムの補完的なプロセスですが、事業計画書をより戦略的なツールとして活用していただきたいため、それぞれの行動内容(アクションプラン)同士をどのように関係(関連)させればよいかという概念的な内容を中心に解説したいと思います(BSCについては、後日詳しく取り上げたいと思います)。
「戦略マップ」で検索していただければ、イメージ図が出てくると思います。

BSCの4つの視点と2方向の流れ

BSCの基本的な考え方について少しだけ触れておきます。
BSCでは、4つの視点と2方向の流れが生まれます。
4つの視点とは、”財務の視点(経営に関する要素)”、”利用者の視点(利用者満足に関する要素)”、”業務プロセスの視点(サービス内容などに関する要素)”、”成長と学習の視点(人財育成に関する要素)”の4つです。

では、2方向の流れについて説明します。
上記4つの視点において、”財務の視点”の目標を達成するためには”利用者の視点”に関するどのような取組みをすればよいか。
また、”利用者の視点”の目標を達成するためには、”業務プロセスの視点”に関するどのような取組みをすればよいか、というように”財務の視点”→”利用者の視点”→”業務プロセスの視点”→”成長と学習の視点”という流れができます。
そして大事なのは、”成長と学習の視点”→”業務プロセスの視点”→”利用者の視点”→”財務の視点”という逆向きの矢印です。
その取組みを行って、次の視点の目標を達成できるものなのかどうかという評価(検証)を行い、目標を達成するというマネジメントシステムです。

「戦略マップ」は戦略的な"ストーリー"

「戦略マップ」は、BSCで設定されている”財務の視点”、”利用者の視点”、”業務プロセスの視点”、”成長と学習の視点”という4つの視点で課題を整理し、それぞれの視点ごとの取り組みがどのように関係(関連)しているかを線や矢印でつなぎ合わせ図式化したものです。
いわば戦略的な”ストーリー”といっても過言ではありません。

一つずつの行動内容(アクションプラン)では全体像がつかみにくいことがありますが、「戦略マップ」で整理すると一つ一つの行動内容(アクションプラン)により深い目的や意義がみえてきます。
それは職員へ行動内容(アクションプラン)を分かりやすく伝えることにもつながりますし、なにより経営層(理事長や施設長)、リーダー層の皆さんが職員に説明しやすくなるという効果も発揮することでしょう。

また、日々の業務とは別に事業計画書の行動内容(アクションプラン)を行うのではなく、できるだけ効率的に取り組みを進めることにもつながります。
例えば、

誤嚥性肺炎を予防するため歯科衛生士を招いた内部研修を実施する
(成長と学習の視点)

利用者の口腔状態に適した口腔ケア用品の充実や口腔ケア加算の算定を可能とする取り組みの促進
(業務プロセスの視点)

経口摂取の維持や栄養状態の改善
(利用者の視点)

誤嚥性肺炎による入院者の減少による空床の抑制、収入増
(財務の視点)

という流れに整理することができます。
内部研修をして口腔ケアについて学ぶことが、実は空床の抑制につながり、法人・施設の経営の安定につながると結び付けられる一般職員はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

まとめ

バラバラになっている課題を「戦略マップ」を用いて見える化することで、計画の着実な実行に向けた行動内容(アクションプラン)を整理しましょう。

管理人

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