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ため息俳句37 ぶらんこ

  一茶にしては、メルヘンチックな句の一つ。
 
       ふらんどや櫻の花を待ちながら  一茶

 「ふらんど」というのは、「ふらここ」「鞦韆」、普通に言えばぶらんこ。
 ぶらんこという遊具は、公園の遊びの装置のなかでも、特別なもののように思える。
     ゆへにか、感傷的な大人にも愛されている。
 散歩コースにある神社の境内の一角に小公園があって、錆び付いたぶらんこと鉄棒と低い滑り台、草が生えている砂場。だが、そこに子供が遊ぶのを見たことがない。ただ、それらは雨風に洗われて、そこに在る。
 たまに、そのぶらんこに腰掛けてみるのだが、禁煙して三十年以上経つのに、「一服したい」と、かすかに思う。

   鞦韆や「インターナショナル」小声にて


    蹴って蹴って蹴って宙へブランコ