ため息俳句 雨夜の月
さわさわと雨が降る音が聞こえているのに、気づいた。それならば、少しは涼しくなったかと、カーテンを開き窓も開けると、やはり窓の手すりが濡れている。
小雨がふっているのだ。だが、暗くて目にはみえない、雨音だけしきりに聞こえる。
それなのに、月が南の空に月があった。
珍しいこともあるかと、一枚撮影して、窓を閉めた。
せっかくのエアコンの冷気が無駄になる、今日の最高気温は39度であった、今は23時過ぎだが、外気はまだまだ相当に蒸し暑かった。
「雨夜の月」というのは諺で、想像するだけで目には見えないことを喩える意味のことだという。雨の降る夜に月は出るものではないから、そうなるのだろう。
転じて、あり得ないことが、稀に起こってしまった際にも使われることになった。
しばらくといっても四、五分であったが、もう一度月を見ようかと窓を開けると、雲で蔽われた暗い空があるばかりで、月は無かった。すると、雨も止んでいて、蟲の音がかすかに聞こえた。
めったにないものを見たのだろうか。いやいや、あれは通り雨だったのだろう。颱風の置き土産、・・・、なら今頃では間が抜けている。通り雨ならここは雨でも、あちらは青空などと云うことは、しばしばあることだから。