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ため息俳句 水母風な月

所用で、隣県に行った。
用事を終えて夕刻前、帰路に就く。
道は、上武道路、国道17号のバイパスである。

 さて、自分もだが、免許証返納の日もそう遠くはないだろう。
兄が運動系をやられる病にかかって運転を断念せざるを得なくなってきた。
ところが、公共交通インフラの乏しい地方都市の一人暮らしの身の上では、移動手段は自家用車に頼るほか無い。
通院に、買いものに、身体の自由が思うようにならなくなればなるほど車が必要になる。
 高齢化社会云々と云われてもうどのくらい経ったのか、田舎の老人の「足」がわりをどう確保すればよいのか、ずっと課題とされてきたのだが、一向に進展はない。この頃は、少子化対策に重点が移動して、高齢者はすっかりお荷物扱いになりつつある。
 どうすればよいのか。
 たとえば、選挙が近くあるが、投票所までゆく手段ひとつ手軽に利用できるものがない。移動手段のない者にとっては、実質的に投票権が剥奪されているのも同然。ネットや郵送による投票ぐらい簡単に実現できるご時世だろうに。
 また、話がとっちらかった。
 年を取ると、どうも口うるさくなる、申し訳ない。

 ともかくも、運転中には、運転に集中しなければならない。
 年取れば、一層そのこころがけが大切だ。
 それでも、ハンドルを握って、移り行く風景も目に入ってくれば、つい一句なんていう雑念もうかんでくるのだ。
 困ったものだ。

利根川を渡る橋は、東へと向かう。
そこで見えた月。

秋日和水母くらげに似たり昼の月  空茶



他には、こんな。

さほどではない幸福な俺芒原すすきはら

ハンドルを右折南進せば斜陽