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ため息俳句 善良な舌
野暮用で、その人と行動を共にした。
野暮用を済ませて、喫茶店でお茶でもということになった。
その男は、とにかくしゃべりまくる。
彼の発言は、常に一人称、話題の主人公が自分である。
妙に記憶力のある人であるが、大体が己の行動と思いを実況中継のように語るのだ、それも聴く側に息もつかせないほどに、まくしたてる。
ところが、膨大に言葉を聞かせられるのだが、男がいったい何者か一向につかめない。そこで、本音を読まれないように言葉の煙幕をはっているのかと疑うが、そういうことでもないらしい。
実に真剣に、必死にぺらぺらと舌が動くのだった。
どんな話題にもついてゆける、一言二言三言四言、ぺらぺらと。
そうして、自分の心情についても、普通なら隠しておきたいだろうということまで、自ら暴露するようなことまで言う。
自分は、嘘偽りのを言えない表裏もない人間だと、ことばにはしないが、そう理解して貰いたいという期待が見え隠れする。
悪い人ではないのだ。
だが、こうした人のおかまいなしの善良さは、危険だ。
この愚録、その男のようになってはいまいか、と思う。
語りたい、自分の存在証明のため、そうなりやすいものだから。
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