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ため息俳句 いただきもの

 日頃、畑で出来た作物を、ご近所のあちらこちらで食べてもらうのだが、そのお返しということで、気づかいをいただくことが、しばしばある。自分としてはそういうことは、まったくご無用に願いたいのだが、そういうわけにもゆかない。ありがたくお返しものを頂くのだ。
 今夜は、「美しい肉」を戴いた。その方はスーパーの精肉部門で働いておられるのだが、時折わけありのものだからと言って届けてくださる。どこにわけなどあろうか、全く不明であるちゃんとしたものなのだ。非常に恐縮しながらも、やっぱりご厚意ゆえ、ありがたく頂いて食べてしまう。
 その方から昨晩、すき焼き用の肉が届けられた。地元の近くの名がついた高級な和牛肉である。
 そういうわけで、今夜はすき焼きなった。しばらくぶりであったので、調理番の自分としては、ちょっと張り切った。
 そうはいっても、格別なこだわりなんてないが、葱についてだけは深谷葱でなければならない。
 そうして、今夜のお楽しみは、畑の春菊である。ちょうど十センチ余りに成長した。ばらまくように蒔いたので、間引きしようと思っていた矢先である。その若い春菊をたっぷりと摘んできた。
 いつもの要領手順で、ガスコンロでひと煮えさせて、食卓においたIHコンロに鍋を移し、加熱する。鋳物のすき焼き鍋はIHで使えるのだ。ゆっくりと低温で煮て、葱もしゃっきり感を残してとろとろにならないのが好きだ。
 飯、味噌汁、漬け物、生卵を用意して、それから春菊を投入。
 後は食べるだけだ。
 
 旨かった。
 葱は云うまでもなく、期待した通り春菊、よい香り、美味しかった。
 まさしくお肉であってのすき焼きである、ありがたや。


茄子胡瓜A5ランクに変わりけり


冬が来れど人の厚意のすき焼きぞ