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ため息俳句 コロッケとハムかつ

 最寄り駅の駅前通りにある小さな精肉店の惣菜の揚げ物が、好物である。

 子供ころ、働きに出ていた母が、夕飯のおかずにしばしば登場させた肉屋のコロッケ・イカフライ・アジフライ・メンチカツ、そしてたまにとんかつ、そのころに身についた親しみの味である。
 時折、買いに行かされた。いつも客が立て込んでいて、注文して揚げあがるまで、しばらく待たなければならなかった。できあがるとお金を払い、ちょっとワクワクしながら、大急ぎで帰ったものだった。

コロッケやあきかぜなどで冷めぬよう 空茶


 しかし、今の生活では、以前のように揚げ物の山盛りを平らげてくれる喰い盛りがいない。老人二人の食卓ではつつましさが、身のためにもよい
のだ。
 定番は、とんかつ一枚を分けあい、コロッケを一つづつ、それにキャベツを大盛りで。それだけではちょっと味気ないので、あじフライ、それにハムかつなんぞが加えられる。
 
 そう、今日も今日とてといえば、ハムかつをいただいた。
 その「ハムかつ」であるが、総菜のそれはぺらっとしたハムがパン粉を衣に揚げられてくる。きちっとした食堂のものは厚手のハムで食べ応えがある場合があるが、いつもの店のものは、ぺらっと薄い。ほとんど衣を食べているという感じだが、自分としてはそれが良いのだ。ハムが5ミリ以上の厚みだと、それは自分的には反則である。
 中学生の腹っぺらしのころ、學校帰りにたまたま小遣いを持っていると、ガッコの近くの✖✖肉屋で一枚買って食べた。大体はコロッケであったが、三度に一度はハムカツにした、その時のハムかつが、ほんとうにぺらっぺらのハムであった。至高の旨さであった、忘れられない。
 そうである、いかにも安ぽい、そう安っぽいのが大好きなのだ。

人としてハムカツが好き秋の暮