ため息俳句 気分だけは春として。
暗い空は嫌いだ。
でまかせに、似非俳句で気晴らし。
梅が香や肉屋内儀の閨おぼろ
抱卵期乙女の耳朶貧血す
葡萄酒の瓶は「ビンの日」春の人
迷い犬若草を食うては吐き
雪解月まろき浅間は女人らし
痩せ尻の犬も眠らせ野水仙
人参ぶら下げて世界の端へ行く
春の寺燃え残つてる俺の影
恋人ら虫下し飲む二月かな
今眼鏡どこに忘れた春の夕
春なれど長何何やら癖になり
橋渡り踏切走り人嬲る春
ラジオ聴く降りこめられて春ひとり
一日、家に籠もった。
こんな遊びでは憂鬱の蟲を飼い慣らすなんてできないと、分かった。