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ため息俳句 十五夜草

十五日蕾みがちなる紫苑しおんかな  空茶


 十五夜草とは、紫苑の別名である。
 その紫苑は、十五夜飾りには芒と共に欠くことが出来ないというのが、我が家のしきたりだが、今年はやはり暑さのせいか花が咲くのが遅くなっている。
 例年であれば、満開であったのに。それでも、なんとか今夜に間に合ってくれたのだ。
 紫苑は、畑の隅で毎年咲いてくれる。芒も畑にある。ともに今夜のために植えてある。
 桔梗や撫子など秋の七草を飾りたいなどとネット上では推奨されているが、そういうものは身近にありそうではない。その点、芒と紫苑は、放置していても毎年咲いてくれるのだ。
 我が家の習慣では、今夜の月を「仲秋の名月」というより、「芋名月」と呼ぶのが似つかわしいのだ。

芋名月
いもめいげつ

陰暦8月15日(十五夜)の名月をいう。新芋(サトイモ)を掘り、水炊きのまま月前に供えたりして収穫を祝った。「名月御祝、三方に芋ばかり高盛り」(『御湯殿記』)とあり、この日、子供たちが竿(さお)の先に釘などをつけて他人の家の供え物をとったり、他人の畑の芋を盗んだりしても、大目にみるというような習慣もみられる。俳諧でも秋の季語として詠まれた。「雲霧や芋名月のきぬかつき」(貞徳『犬子(えのこ)集』)、「蕪よりいも名月やひがしやま」(安永『玉海集』)
[岡田袈裟男]

小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

 芋に限らず、今ある作物で秋に収穫できたことを感謝する祭りであるという感じだ。
    それに、自分がはな垂れ小僧の頃は、御他人様のお供え物を失敬しても許されるという十五夜泥棒が出没したものだ。

今夜のお供え物、シャインマスカットは買ってきたものだよ。

 さて、今夜の月だが、それこそまん丸お月様がくっきりと、この部屋の窓からも見上げることが出来る。

旧暦八月十五日の月


 綺麗な月だ、明月だ。それはそれで、へそ曲がり者の憎まれ口がついて出た。

あんまりの月で詰まらぬけふの月  空茶