ため息俳句 十五夜草
十五日蕾みがちなる紫苑かな 空茶
十五夜草とは、紫苑の別名である。
その紫苑は、十五夜飾りには芒と共に欠くことが出来ないというのが、我が家のしきたりだが、今年はやはり暑さのせいか花が咲くのが遅くなっている。
例年であれば、満開であったのに。それでも、なんとか今夜に間に合ってくれたのだ。
紫苑は、畑の隅で毎年咲いてくれる。芒も畑にある。ともに今夜のために植えてある。
桔梗や撫子など秋の七草を飾りたいなどとネット上では推奨されているが、そういうものは身近にありそうではない。その点、芒と紫苑は、放置していても毎年咲いてくれるのだ。
我が家の習慣では、今夜の月を「仲秋の名月」というより、「芋名月」と呼ぶのが似つかわしいのだ。
芋に限らず、今ある作物で秋に収穫できたことを感謝する祭りであるという感じだ。
それに、自分がはな垂れ小僧の頃は、御他人様のお供え物を失敬しても許されるという十五夜泥棒が出没したものだ。
さて、今夜の月だが、それこそまん丸お月様がくっきりと、この部屋の窓からも見上げることが出来る。
綺麗な月だ、明月だ。それはそれで、へそ曲がり者の憎まれ口がついて出た。