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たった5分15秒のガマンもできない人はお引取り願いたい、な〜んてね。
前回のソニー・ロリンズの「モリタート(マック・ザ・ナイフ)」は聴いて頂けましたでしょうか?
楽しんで頂けましたか?
退屈だったかもしれませんね。
短時間で楽しめるポップスを聴き慣れている人にとってはジャズやクラシックはかったるく感じるかもしれません。
ジャズやクラシックは長時間表現音楽ですから。
【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第74回】
ポップスには短編小説(時には小話)的楽しみがあるようにジャズやクラシックには中編もしくは長編小説の楽しみがあります。
聴き方のコツを掴んでしまえばしめたもんなのですがちょっとハードルが高いのは事実です。
ハードルが高いというのは高尚だという意味ではありません。
ジャズの面白さであるアドリブをどう聴くかということです。
アドリブの面白さに気づいていただくにはぼくがロリンズの「モリタート」を何度も何度も聴き返したように名演奏に身を預けることです。
コード(和音)という制約の中でめいっぱい自分の気持ちや気分をフレーズに置きかえて一筆書きで音楽を紡ぎあげるセンスに耳を傾けることです。
これが面白いんだな〜。
同じ曲を演奏しても演奏者の解釈の違いにより全く異なった持ち味の音楽に仕上がるんですから。
素人の演奏家がよく言う言葉があります。
「ぼくは人の曲を演奏しません。自分のオリジナルの曲で勝負したいんです」と。
残念ながらぼくのつたない経験ではビックリするようなオリジナルを披露してくれた素人さんとの出会いは数えるほどしかありません。
常々オリジナルよりもオリジナリティーが大切だとぼくは考えています。
その演奏家のセンスとテクニックを知るにはカバー演奏してもらうに限ります。
誰もが一度は耳にしたことのあるスタンダード・ナンバーをどう解釈して聴かせてくれるのだろうということにスリルを感じます。
ここでひとつ聴き比べを。
ジャズの古典的な名曲で「テイク5」という曲があります。
アルト・サックス奏者のポール・デスモンドが作曲して彼が属していたデイブ・ブルーベック・カルテットの演奏で一躍有名になりました。
1959年のことです。
この曲のライブ演奏をお楽しみ下さい。
デスモンドの次にソロをとるブルーベックの個性的な演奏に耳を傾けてください。
5分15秒のガマンですのでそこんとこ宜しくね。
この曲は1961年10月にはビルボードのトップ100で25位にランク・インされるほどのヒット曲となりました。
変拍子(5/4拍子)を使った独特な曲調とブルーベック・カルテットの演奏で世界が出来上がっていることもあり、他人がカバー録音することの少ない曲ですが、2002年に発売されたノルウェーのヘルゲ・リエン・トリオの『スパイラル・サークル』に収録された「テイク5」を聴いて驚きました。
録音も見事ですがこれほど手垢のついたヒット曲を原曲の魅力を保ちながら自分たちのサウンドに磨き上げたセンスに聴き入ってしまいました。
今度はちょっと長いですが8分25秒くらいガマンできますよね?
いかがでしたでしょうかオリジナルとオリジナリティー。
オリジナルの楽曲を創り上げることも大事ですが手垢のついた他人の曲を自分の世界で染め替えるセンスと勇気にぼくは面白さを感じるんです。
今日も最後までお読みいただき有難うございました。
当分モーツァルトにたどりつけないような気がしますがお付き合い頂ければ嬉しいです。
お読みになった感想など書き込んでいただけると励みになります。
この続きはまた次回(恐らく明日)。
お待ちしております。
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2002年から書き続けているブログ「万歩計日和」です。