脱力系映画といえばやっぱりこの人でしょ。
つい最近まで住んでいた大磯町でnoteを読み始めた時にはまさか大好きな映画の舞台になった町で暮らすことになろうとは夢にも思わなかった。
大好きな映画とは上野樹里が主演した『亀は意外と速く泳ぐ』(2005)。
監督は三木聡。
『亀は意外と速く泳ぐ』は脱力系おバカ映画の傑作。
【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第11回】
ちなみにこの時期に公開された上野樹里の『スウィング・ガールズ』(2004)、『亀は意外と速く泳ぐ』、『サマータイムマシン・ブルース』(2005)はどれも第一級のコメディ映画だ。
『亀は意外と速く泳ぐ』は三浦半島の突端にある小さな港町三崎で撮影された。
我が家は三崎港から歩いて30分ほどの場所に7月に転居してきたばかりだ。
大磯に住んでいる時には大磯在住ですと話すと「大磯ロングビ−チに行ったことがあります」「大磯ロングビーチ知ってますよ」と100%の人が答えたが、「三崎に住んでいます」と言うと、「マグロを食べに行きますよ」とか「マグロの美味しいところですよね」とほとんどの人が答える。
大磯にしろ三崎にしろぼく自身は何のイメージもないまま越してきたのだが、こんな風に言われると自分がまるで観光地巡りをしているような気分になる。
『亀は意外と速く泳ぐ』はこんな映画だ。
上野樹里が演じるのは、夫が海外に単身赴任しているので夫のペットの亀に餌をやりながら毎日同じことの繰り返しに飽き飽きしている専業主婦の片倉スズメ。
ある日100段階段で転んだことで豆粒のような「スパイ募集」の張り紙を見つけてしまう。
スパイを募集している?
なんだか怪しい。
っが、連絡先を訪れたスズメ。
あまりにも平凡な容姿と考え方のスズメなので「誰もがスパイだと疑うこともしないもっともスパイに適した人間だ」と太鼓判を押され、見たこともない大金の活動資金を渡されて採用される。
バカバカしいにもほどがある物語がここから始まり、日常とはテンポのずれた個性的なキャラクターが次から次へとスズメのまわりに登場する。
蒼井優、岩松了、松重豊、村松利史、温水洋一、嶋田久作、伊武雅刀、ふせえり、緋田康人などてんこ盛りな超個性派俳優たちとのやりとりが絶妙な笑いをかもし出す。
同じことの繰り返しで生活に飽き飽きしていたスズメは緊張感のある暮らしに胸おどる毎日を過ごしはじめる。
物語をこれ以上語っても三木演出の面白さは伝わらない。
この映画に出演しているほとんどの役者が脇をつとめている三木聡監督のテレビ番組『時効警察』(2019年11月現在放送中)をご覧になれば日常とは一歩テンポのずれた三木聡ワールドを堪能していただけると思うので、興味のある方はぜひ。
たった一言が心に残った映画もある。
テレビ番組表で目にした題名にひかれて観た『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち』。
2006年のある日、ブエノスアイレスの録音スタジオに1940年代のタンゴ全盛期に大活躍したスターたちが集まって『CAFE DE LOS MAESTROS』を録音した。
マエストロたちが大集合して思い出を語りながら演奏する録音風景をとらえたこのドキュメンタリー映画の中で、南米に古くから伝わることわざが心に響いたので思わずメモをとった。
この続きはまた明日。
明日は村上春樹が小説を書くときに最も参考にしたと言われている作家の話が中心にります。
明日もお寄り頂ければ嬉しいです。
連載第一回目はこちらです。
ここからご笑覧頂ければ嬉しいです。
第1回 亀は意外と速く泳ぐ町に住むことになった件。