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新型コロナウイルスのように得たいの知れない恐怖がこみあげてくる映画がある。
ついにハリウッドスターから新型コロナウイルスの陽性反応が出た。
エルヴィス・プレスリーの伝記映画の制作のため、オーストラリアのゴールドコーストに滞在していたトム・ハンクスだ。
奥様も撮影スタッフからも陽性反応が出たというからハリウッドは大騒ぎしてるだろう。
【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第71回】
トム・ハンクスと言えば思い出すのはロバート・ゼメキス監督の『フォレスト・ガンプ』と『キャスト・アウェイ』、スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』かな。
新型コロナウイルスは正体不明だということが恐怖感を煽っている。
得体の知れないものに対する恐怖感ということになると思い出す映画がある。
3月12日(水)の午後。
一仕事終えて一段落の前にキッチンで雑用をしながらテレビをつけるとスティーブン・スピルバーグ監督のデビュー作『激突』が放送直前だった。
これは観なくっちゃ。
『激突』は1971年アメリカ製作の74分のテレビ映画。
日本では73年に再編集された90分ヴァージョンで劇場公開された。
対向車とすれ違うことすらほとんどない夏の閑散としたカリフォルニアの田舎のハイウェイで前を走る薄汚れた巨大な18輪タンクローリーを追い越した主人公の男が、そのタンクローリーからねちねちと嫌がらせを受け、しつこく追いかけられた挙げ句命を狙われるはめに陥るというまるで悪夢のようなお話だ。
この作品の監督に応募したスピルバーグはプロデューサーから「君の最近の作品を持って来てくれ」と言われて同じ年に演出したテレビドラマ『刑事コロンボ』の第3作「構想の死角」を提出し、監督としての採用が決定したと言われている。
出演者は一人(全編ほとんどデニス・ウィーバーの一人芝居)、$450,000という超低予算、アメリカ西海岸のハイウエイで16日間のロケ。
かくて傑作が生まれ25才で無名だったスピルバーグは本作品テレビ放映後一躍業界に名前が知れ渡る事になった。
一流の映画を生み出すのに必要なのは、スターでもお金でもトリッキーな映像でもなく、独創的なアイデアと映像の力を知りつくした演出家の想像力だということをスピルバーグがこの作品で教えてくれる。
『激突』は原作を超えた数少ない映画でもある。
原作を超えた映画ということで記憶を探り出してみよう。
どおくまんプロのマンガの持ち味を損なわずに実写で再現した曽根中生監督の「嗚呼、花の応援団」ではマンガから抜け出たようななぎら健壱演ずる薬痴寺先輩に大笑いした。
もう一本マンガを忠実に実写化して成功したのが曽利文彦監督の『ピンポン』。
原作の魅力を損なわずに原作とは違った魅力が生まれた映画としては大林宣彦監督の「転校生」、ブライアン・デ・パルマ監督の「キャリー」、そしてスティーブン・スピルバーグの「激突」だ。
『激突』の主役はピータービルト281という大型タンクローリーだ。
主人公が抜きつ抜かれつしているうちにタンクローリーが化け物に見えてくる。
10年以上も前にこの映画で使われたトラックがオークションに出されました。
映画とは何か、どうやればサスペンスが生まれるか、人は何に恐怖を感じるかについての多くのヒントが隠されている映画づくりの教科書的作品でもある。
ヒッチコック監督の「裏窓」とともに、閉ざされた空間で迫り来る恐怖を描いた傑作だ。
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