すべての国民が毎月1度以上映画館に通っていた映画の黄金時代💗『カーテンコール』
《乱れ撃ちシネnote vol.216》
鑑賞日:2024年8月12日 Amazon Prime Video
なんか無性に邦画が観たくなり探していたらお気に入りの今泉力哉監督のドラマが見つかった。
さてどんなものやら。
24.08. 05(06)-☆-「1122」 今泉力哉監督 2021年
2話目の30分で途中下車。
話のとば口だというのにさっぱりお話に入れない。誰ひとり気になる役者もいない。
今泉監督はこんなに好きな映画は多いのにな~。
『ちひろさん』
「知らない、ふたり」
『サッドティー』
『お兄ちゃんは、戦場に行った!?』
『こっぴどい猫』
こちらの気分のせいかもしれないのでいつかもう一回チャレンジしよう。
残念。
やっぱり邦画を観たい。
このところNHKラジオ「ラジオ深夜便」を放送日の翌朝“らじるらじる”で後追い再生して聞いている。
何が芸なのか分からない中途半端なお笑い芸人だった藤井隆が最近は舞台に出ていることとかけっこう誠実な人なんだねと思えるようになったのは“深夜便ビギナーズ”のコーナーでの受け答えを耳にするようになってからだ。
その藤井隆が主演なのでこの作品を選んだ。
24.08. 12(09)- ☆☆☆-「カーテンコール」 佐々部清監督 2004年 日本
へ~、藤井隆がこれほどいい味を出せるとはおみそれしました。
【Introduction】
観始めたとたんに「あ?これは以前観ている」だったが藤井隆がいい感じで役に溶け込んでいたので再見した。
映画好きの友達にちょっといい映画だよと教えたくなるような小品。
佐々部清監督は『半落ち』とか『ゾウを撫でる』とか『ツレがうつになりまして』の監督。
宮崎あおいと堺雅人が素敵なカップルを演じた『ツレがうつになりまして』』が一番のお気に入り。
【物語の概要】
東京の出版社でスキャンダル雑誌の取材記者として働く香織(伊藤歩)はある大物政治家のスキャンダルを報じたため干されて事務職にまわされてしまった。
毎日コピーに明け暮れている彼女を目にしていた編集長に「博多で自分の先輩がタウン誌を経営しているのでしばらくそこで仕事をしてみないか、いずれ必ず本社勤務に戻すから」と声をかけられ博多のタウン誌で働くことになった。
ある日香織は読者の一通の投稿に興味を持った。
「昭和30年代から40年代にかけて下関のある映画館で幕間に声帯模写と歌をうたってくれた芸人さんがいます。とても素朴な芸でしたが人情味あふれるその芸はお客さんたちの心を和ませてくれました。下関にある港劇場という古い映画館です・・・」
香織は「この人を見つけて記事にしたい」と編集長に提案する。
「今どきの若い人たちはこんな地味な話は興味ないんじゃないかな?」と編集長。
「今どきの若い人たちこそ古風な気持ちを持っているんですよ」と香織。
「ま、いいわ、あなたがやりたいならやってみたら。あなたの復帰第一弾がこんな地味な記事で悪いわね。ただし経費はほとんどなし、3日で取材して2日で仕上げてちょうだいね」
かくて故郷下関にある古めかしい映画館を取材することから香織の幻の「舞台芸人」安川修平探しの旅が始まった。
【Trivia & Topics】
✥藤井隆の演じた安川修平。
大鵬と柏戸が同時に横綱になった昭和36年に社員募集のビラを見て安川修平(藤井隆)は映画館のスタッフとして働き始めた。
館内の掃除、フィルムの運搬、客の呼び込みから客入れ、ガリ版印刷で手作りのチラシを作り商店街に配るなど何でもこなした修平はある日映写事故の場繋ぎとしてステージで声帯模写や歌を歌いやんやの拍手喝采を浴び映画館の人気者となる。
当時は映画が娯楽の王様。
日本映画の黄金時代と言われている昭和30年代はすべての国民が一年間に12本、毎月1度以上映画館に通っていた。
その当時の時代の雰囲気を映画館を舞台にして淡々と語られる。
人気の映画を上映すると客が溢れて扉が閉まらないといった経験はその当時ぼくも黒沢監督の『用心棒』や『七人の侍』などを2番館や名画座で観たときに経験している。
『ウエストサイド物語』『銀座の恋の物語』『上を向いて歩こう』『キューポラのある街』『座頭市物語』『日本一の若大将』『ティファニーで朝食を』『悪名』『ナバロンの要塞』『フラバァ』『栄光への脱出』『荒野の七人』『椿三十郎』など名画やヒット作品が当時は目白押しだった。
しかし昭和40年代中盤から映画産業はテレビに娯楽の王様の地位を譲り渡すことになった。
もともとが修平の歌も声帯模写も素人芸なので客からの声援の拍手や歓声はいつの間にか「ひっこめ~」に変わり、修平がステージに現れると席を立つ人の数が目立ち始め、経営的にも厳しくなったために修平は首になる。
その後物語は思いもかけない方向に舵を切る。
映画の全盛期からテレビに追われて衰退にいたる道のりを身を持って体験した安川修平を演じる藤井隆の自然な演技が心にしみる。
本作は第15回日本映画批評家大賞作品賞と第2回日本映画エンジェル大賞を受賞し、藤井隆は第15回日本映画批評家大賞新人賞を受賞している。
【鑑賞ガイド】
😁😁😁
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😁😁😁😁😁:見事な作品。
😄😄😄😄:お勧めです。
😀😀😀:楽しめます。
😔😔:苦手です。
🥵:途中下車。
【巷のうわさ】
Filmarks:☆☆★
Amazon:☆☆☆☆
u-next :☆☆☆★
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