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85年も前に音が癒すことを知っていたこの人は何者?
2018年2月4日にとんでもないものと出会ってしまった。
そのきっかけをつくってくれたのが2017年大磯図書館貸出し回数ナンバー・ワンの小説。
又吉直樹著『火花』だ。
村上龍の『限りなく透明に近いブルー』を抜いて芥川賞受賞作品として歴代第1位、文藝春秋刊行物歴代第2位の部数を誇るほどの超ウルトラ・ビッグ・ヒット小説で2017年2月時点で累計発行部数は単行本が253万部、文庫本が30万部。
以上ウィキ情報。
【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第19回】
この小説には興味が湧かず読む気もおこらなかったが図書館の朗読CD特集コーナーで見かけた。
いまさら本を読む気にはならないけどどんな物語かぐらいは知っておこう。
老眼もすすんでいることだし物語を聞くのも悪くないかと借りたのがこの5枚。
(1)『火花』又吉直樹著 朗読:堤真一
芥川賞歴代第一位の売上ってどんな小説なのか興味津々。
(2)『江分利満氏の優雅な生活』山口瞳著 朗読:小林桂樹
これを原作にした岡本喜八監督の映画がスキだったな〜。
(3)『父の詫び状』向田邦子著 朗読:渡辺美佐子
恥ずかしながら向田邦子の文章も読んだことがないので。
(4)『セロ弾きのゴーシュ』 宮沢賢治著 朗読:松橋登
子供のころ読んだけれど忘れてしまったのでついでに借りた。
これはオマケ。
(5)『話のアルバム・ステージ・トーク・ライブ・ 3 集』さだまさし。
面白くなかった『火花』のCD4枚組256分を最後まで聞き通せたのは堤真一の朗読が心地よかったからだ。
岡本喜八監督の映画で大好きだった『江分利満氏の優雅な生活』も『父の詫び状』もさだまさしの『話のアルバム・ステージ・トーク・ライブ・ 3 集』もそれなりに楽しめた。
物語を耳で楽しむのもありだとつくづく感じた。
ついでに借りた『セロ弾きのゴーシュ』に仰天した。
そんな馬鹿なことが!!
耳を疑った。
ゴーシュは町の活動写真館で演奏する楽団でセロ(チェロ)を担当している。
楽団員のなかで一番下手なので楽長に「リズムが悪い」「感情がこめられてない」と叱られてばかりいる。
町の片隅の水車小屋に一人で住んでいるゴーシュは毎日夜中まで一生懸命練習に励んでいる。
ある晩やってきた三毛ねこが「シューマンのトロイメライを弾いてごらんなさい。聞いてあげますから」と生意気なことを言う。
ゴーシュは「インドのとらがり」という激しい曲を聞かせてねこを追い返す。
二日目の晩には音階練習につき合ってもらいたいとカッコーが頼みに来る。
何度か音階練習につき合ってカッコーを追い返す。
三日目の晩には小太鼓を背負った子だぬきが「ゆかいな馬車屋」を一緒に演奏してくださいと頼みに来る。
一緒に演奏するとゴーシュは子だぬきにセロの具合の悪さを指摘される。
四日目の晩には病気のこどもをつれた野ネズミの母親が訪れてこどもの病気を治してくれとゴーシュに頼む。
ゴーシュは「おれは医者ではない」と断る。
子ネズミの母親は「このあたりの動物たちは具合が悪くなるとゴーシュさんの家の軒下に夜中うずくまって病気を治してもらっています」と言う。
ここからは原文です。
ゴーシュはびっくりして叫びました。
「何だと、ぼくがセロを弾けばみゝづくや兎の病気がなほると。どういうわけだ。それは。」
野ねずみは眼を片手でこすりこすり云ひました。
「はい、こゝらのものは病気になるとみんな先生のおうちの床下にはいって療(なお)すのでございます。」
「すると療るのか。」
「はい、からだ中とても血のまはりがよくなって大へんいゝ気持ちですぐに療る方もあればうちへ帰ってから療る方もあります。」
「あゝそうか。おれのセロの音がごうごうひゞくと、それがあんまの代わりになっておまへたちの病気がなほるといふのか。よし。わかったよ。やってやらう。」
これはまさしくぼくが14年前にクリスタルボウルの演奏を聞いた翌日にめまいが止まったのと同じ振動音響療法のことだ。
音楽療法ではなく振動音響療法。
音の響き(振動)で人間の心や体の不調を改善する療法はぼくがもっとも興味をもっているテーマだ。
振動音響療法は1970年代にドイツで研究発表されている。
宮沢賢治はどうして85年も前にこのことを知っていたのだろう?
この続きはまた明日。
明日は三つ子の魂とはこのことかと納得したことについてです。
明日もお寄り頂ければ嬉しいです。
連載第一回目はこちらです。
第1回 亀は意外と速く泳ぐ町に住むことになった件。
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