現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その32)
やがて季節は秋になり、皇后宮の喪が明けた。喪服を脱ぎ、光を添えたような美しさを取り戻した女三宮を前に、帝は正視できずにただ涙に暮れた。一方の関白は月日が過ぎるに従って、忘れ形見の姫君の世話と仏道修行に専念していた。
八月の月の明るい夜、暁の頃にまどろむこともできないでいた関白の夢枕に、亡き皇后宮が立った。死去した昨年の秋と同じ姿で、ひどく思い乱れた様子だった。
(続く)
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皇后宮の死去から一年が経過し、喪が明けました。
姫君の面倒と仏道修行に専念する関白の夢に皇后宮が現れましたが、何やら伝えたいことがあるようです。
(ちなみに、旧暦では七月から秋になります)
それでは次回にまたお会いしましょう。
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