『古代メキシコ』展に行ったら案の定血生臭かった
マヤ文明と聞いてもなんとなくピンとくるのはインディ・ジョーンズが好きだったからだと思う。
オタクになるレベルでは追っていないけど、一番のきっかけは東京ディズニーシーのアトラクションの不気味さにハマったこと。親も割と古い映画を観ていたから、TVで過去作品が放送されると私もなるべく観るようにしていた。
今思うと、かなりグロかったりえげつなかったりと大分大人向けの描写が多かった。よく地上波でやってたな?
そんな印象があるマヤ文明あたりを掘り下げたこの展示に、結構エグいものが見られるであろう覚悟で行ってみた。
個人的にはホラー耐性は強い方なので、ビビることは多分ないなーと考えていたが、いざ展示を見てみると、ま~~~結構血生臭い。ようそんな女や子どもに血を流させて嫌にならんな、と言いたくなるほど。でもこの文明ではそれが当たり前だったということだし、当たり前であるから文明たりえているともいえる。インディ・ジョーンズのめちゃくちゃ怖い昔の文明という概念は、演出の類ではなくマジだった。
少し意外だったのが、位の高い人もすすんで血を流さなければならない慣習があったこと。
こういうおどろおどろしいならわしは身分の低い者が人柱にされるイメージを勝手に抱いていたけど、このことから文化として"崇拝"としての意義が何よりも重いことが分かる。
自らを犠牲にしても神を敬う姿勢を知ってしまうと、インディ・ジョーンズにおける不敬をはたらく愚か者たちが神の怒りに触れて惨い死に方をする展開も、ある意味ではノンフィクションなのだろう。
今回の目玉は赤の女王。血なまぐさい話はないものの、真っ赤な粉塵に塗れて発掘されたミイラという肩書が既に強烈なインパクトを放っている。とはいっても骨を見れる訳ではなく、復元されたガワの装飾が来日している。ちなみに、旦那さんにあたる王の翡翠で出来たマスクは、残念ながら来日せずだった。
で、赤の女王の装飾の復元はこんな感じ。
棺に入っていたおかげか、粉々に砕けていたほとんどのパーツを使ってでも本来の姿へ近い形に修復することができたというわけだ。
「機械もないのにこんなもの作れる昔の人ってスゲー!」と感動してみせることは簡単だけど、実際すごい上、当時の貴重な資源を十分に使って王と妃の死を弔う行為というのは、その時代に生きた人々が魂を削って文明を保っていたことがよく分かる。現代はむしろ物があふれて飽和しているから、こういう物質的な敬い方はあまり想像できない。贄もそうだが、形として何かを生み出すことに大きな意味があった時代なのだろう。今やお賽銭も電子マネーだ…。
あとめちゃくちゃくだらないことなんだけど、この赤の女王の首回りのたくさんの石が付いた装飾はテキトーに並べているんだろうか?
移動していた訳じゃないから、ある程度の位置は分かった可能性もあるけど、それでもかなりバラバラにはなってただろうに、色や大きさの順番の意味とかあるのか? あったとして修復する人たちに分かるのか?? とか考えてしまった。テキトーならそれはそれで良い気がする。
今回のような展示を見るたび、こういう文化の良さは現代ではもう生み出すのは難しいのだなと思う。先述したように、昨今は物質的なものに重きを置かなくなってきた。そもそもSDGsやらなんやらで資源を大事にとか無駄にものを生み出さないとかそういうタームに入っている。その代わり、物質的なもの意外に価値を見出だされるから、これはこれで過去の人々から観ればスゲー文明になるんだろうな。
普通に生活してても出会えないものがたくさんあるから、博物館に行くのは好きだ。
おまけ。
もう終わっちゃったのに書いてもアレなんだけど、もう一つ言及すべきは今回の展示のオリジナルグッズのかわいさ。
今後も国立博物館にはどんどんこういうことをやってもらいたい。