Isaac Hayes Live (1973)
ブラックモーゼ。ゴッドファーザーオブソウルやキングオブポップより凄みのあるニックネームですがアイザックヘイズはその風貌やサウンドも名前負けしていません。そんな彼の初めてのフルライブアルバムがこちらです。曲は代表曲はもちろん他人のヒット曲やルーツを感じさせるポップやブルースもありスタジオ盤からは見えない一面が見えます。
ちなみにジャケットはアイザックヘイズの部分に扉の印刷がされた紙が貼ってあるタイプとないタイプがあります。あるタイプだとアイザックの写真が隠されていて開くと写真が見える仕組みに、ないタイプだと同じ写真だけになっています。
メンバー
アイザックヘイズ:ボーカル、ピアノ、オルガン、アルトサックス、ヴァイブ、タンバリン
チャールズ”スキップ”ピッツ、サミーワッツ:ギター
ウィリアムマーフィー:ベース
シドニーカーク、レスターシネル:キーボード
ウィリーホール:ドラム
ゲイリージョーンズ:パーカッション、コンガ
他
Theme from Shaft
名刺代わりのこの一曲からスタート。スタジオ盤よりホーンがラフなアレンジですがネチっこいワウギターやミステリアスな雰囲気のフルートのかっこよさは変わりません。ストリングスはライブではなく後にスタジオで追加録音されたものです。
The come on ~ Light my fire
前半は新曲でアイザックヘイズらしい軋むようなファズとワウギターとミステリアスなキーボードの絡みがアイザックヘイズらしいナンバーで後半はドアーズのカバー。こちらはアップテンポのサイケロック風のアレンジとムーディーなアレンジを組み合わせています。
Ike’s rap Ⅴ ~ Never can say goodbay
Ike’s rapはアイザックヘイズがしゃべるだけのトラックで5なのはファーストアルバムから数えて5版目だから。ネイティブじゃないから何いってるかわからないけど観客の反応からして面白いことを言っているはずNever can say goodbayはヘイズのネットリした歌が人を選びそうですがネットリとしたグルーヴにシンフォニックなストリングスとホーンが組み合わさる演奏は圧巻です。
windows of the world
スウィートなソウルバラードでバートバカラックの曲です。アイザックはバートの曲が好きなのかよくカバーしていますがポップながらもクラシックやジャズの要素があるメロディがシンフォニックサウンドにマッチしているものの歌の下手さが目立つ気がします。彼が歌わずプロデューサー、アレンジャーになっていたらモータウンのノーマンホイットフィールド、スタックスのアイザックヘイズみたいな語られ方をされていたかもしれません。
The look of love
バートバカラックのカバー。スタジオバージョンともオリジナルとも違ったアレンジでちょっと演歌みたくなっています。
Ellie’s love theme
シャフトのサウンドトラックから。ヴァイブを使ったジャジーなイージーリスニングナンバーです。
Use me
ビルウィザーズの曲をファンクにアレンジ。軽快なファンクナンバーでキュッキューンってワウギターがアイザックらしいです。
Do your thing
この曲もシャフトのサントラから。スタジオバージョンより少し軽く始まりますが後半のホーンセクションには圧倒されます。一度終わったと思わせてからオルガンと鳥の鳴き声のようなギターを中心にサイケに盛り上がるのが印象的です。
Theme from the men
映画the menのサントラから。ブラスバンドっぽいアレンジのナンバーでシャフトと比べるとより映画音楽らしいサウンドです。
It’s too late
キャロルキングのカバー。スローテンポのヘヴィなバラードで演奏はかっこよくアイザックの歌のそこまで下手に聴こえないです。
Rock me baby
BBキングのカバー。キングはキングでースタックス時代のアルバートキングみたいなサウンドです。そして翌年にはアイザックのバックバンドムーブメントはアルバートと共演します。
Stormy monday blues
Tボーンウォーカーのカバー。ブルースとジャズの中間みたいなアレンジで演奏されることが多い曲ですがここでもかなりブルージーだけどジャジー。スウィングジャズのようなホーンセクションなんかはめちゃくちゃかっこいいです。
Type thang
シャフトの続編シャフト旋風からの曲。高揚感のあるホーンは聴いていてとてもワクワクしてきます。
The first time ever i saw your face
ロバータフラックのカバーで変わったアレンジはせずオリジナルに忠実なカバーですが演奏が控えめな分、上手くない歌が目立って聴いていてキツいです。
Ike’s rap ~ Ain’t no sunshine
この曲もビルウィザーズのカバー。メロディをアイザックが吹いていますが泥臭いサウンドでジャズミュージシャンにはないクセがあっていいです。演奏はほとんど原曲のメロディは出さずにジャムっています。最後の方はアイザックのサックスソロで何かのフレーズのようなものを吹いていて歓声がすごいので有名な曲だと思われますがよくわからないです。
Feelin’ alright
イギリスのロックバンドトラフィックのカバー(ロックバンドのカバーは少ないのにソウルやフュージョン系のミュージシャンから人気の謎曲)重くネットリした感触は薄いですが泥臭くファンキーな曲で硬質なタッチのピアノやタンバリンがゴスペルタッチでかっこいいです。