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【読書note】:『生活の途中で』

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先日、本屋Titleにて購入しました。
文学フリマで頒布されるという情報を知った時、すごく買いに行きたかったのですが、自分がサークル出展するCOMITIA123と日程が被ってしまっていたため購入できず…。
後日本屋Titleさんで購入できるという情報を聞き、ワーイと荻窪に向かったわけです。

とっても楽しく読ませてもらいました。
満足感たっぷり。

こだまさんの文章はずっと読んでいたい。
こだまさんの作品はたんたんとあるのがいい。
これは内容や文体のことを指してるのではなくて、”淡々”としてるのでもなくて、たん。たん。たん。と”在る”ところがすごく良い。
こだまさんの書くものは全部読みたい。
だからこのエッセイの中で著書『夫のちんぽが入らない』の内容を大幅にカットした経緯が書かれていて、少し残念に思った。
読んでみたかったな。
在るものは全部読みたかった。


ミワさんのエッセイの内容に、自分かと思うほどに共感した。
文章構成が大好きだった。
自意識の強い”自分”ではなく、自分の自意識にまつわる”こと”についてえがかれているのがよかった。
私は、文章(もしくは作品)を書いていながら、それを媒介にして”自分”を見てほしがっている、自分の魅力をあぶり出したいことが読んで取れる人が苦手だということに気がついた。
同じ”自意識”についてえがいていても、プロを分けるのはきっとここだ、と私は感じた。
色んな良い話がいっぱいあったあと、結局「さて、これから来る冬に向けて、僕はどこで休憩すればいいのだろう。」という文章で締めているところに人柄(と文章の良さ)がうかがえて、親しみと愛らしさを感じて好きになってしまう。


GAMEBOYZさんは、すごく純粋で繊細な人なのだなという感じが文章から伝わってきて、読後にキラキラした瞳でフ―と息をついていた。
そしてなんかカッコイイ!!

人の価値観は人それぞれだから、自分にとっては大切なこの経験も、他人から「それが何だ」と言われるネタだということもわかる。例えば毎日仕事帰りにボクシングジムに励む私と、毎日家族のために家事をこなす主婦がいて、どっちが偉くてどっちが幸せか。あるいはボクシング1ラウンドの3分間と、マッチングアプリをスワイプする3分間。どっちが将来自分にとって効率的な投資となるか。そういう重みは同じ天秤にかけられない。自分は自分、他人は他人。(「3分間」p.63-p.64)

色々なことを気にしながら、色々なことを気にかけながらもこういうことを書いているのがよかった。
「もう疲れた」と「まだ頑張れる」を繰り返しながらも生活は続く。
と書かれていて、本当にそうだなぁと思った。


久保泉さんの文章も、とてもかわいらしくてよかった。
にじみ出る正直さがすごく愛らしい。

「結婚するけん。プロポーズされた!」
まさかの展開。そのまま硬直、のちに号泣。言っておくが嬉し涙ではない。ショックすぎたのだ。大好きで可愛い妹が。嫁に行く。そもそも嫁に行くって考え方どうなの、なんてそのときはおもえなかったがどうなの。(「手をつなごう」p.69)

こことか大好きだった。
正直な気持ちを書いて愛らしさがにじむ人ってうらやましいな。
場所や洋服など、細かなディティールの描写がこの姉妹の雰囲気をつかませてくれる。
だからすごく可愛くて、切なくて、72ページ、駅のホームで電車を待ちながら読んでいた私の目にぷくとちょうど涙がたまった。
この生活の中にある「文章を書く」はすごくいいな。いいものだなとおもった。

私は「生活」とか「くらし」とかが大好きだ。
なので最近誰かの日記やエッセイを読むことも大好きになった。
何か好きなエッセイがありましたらぜひ教えて下さい。

本屋Titleさんには、買いきれないくらい面白そうな本がいつもいっぱいある。
他にはこれを買ったよ。

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また次に行くのが楽しみ。

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