観音ブログ#1 「風の男とその娘」
子どもの頃震えた景色。
12歳の春3月、小学校も終わって
私たち家族がふるさと品川を離れる送別会を
御町内の方々がお隣の寿司屋の広間で設けてくださった。
その最後に、終始笑顔で馬鹿笑いしていた父が
突然、
「離れたくねえよおぉ・・・」
と
号泣した。
よく、文章で号泣と読むけれど
あんな咆哮を後にも先にも人から見たことはない。
生まれてこの方見たことのない父の姿で私は硬直し
母も
父が生まれた頃から知っているご近所のみなさんも
言葉を失くして一瞬でお通夜のようになった。
時を経て
私が高校生の頃
母方の祖母が亡くなった。
横浜の実家で告別式の朝
庭を見て
涙を流すでも耐えるでもなく
佇んで立っている父を見た。
その姿と
12歳の春見た父の咆哮を思い出した後年のある時
ああ
あれが
あの咆哮が
スサノオの涙か
と思った。
自分の命だけでなくて
その場の全ての命も震わす涙と叫び
水という水が逆巻く
水が動くところに風は起こる
ああ
須佐之男命の すさ とは
風の音か
音から文字へ捕らえられ
文字になって忘れられた音を
自由に観に行く旅を
これからしていこうと思います。
観音ブログです。笑
スサノオの娘が風のように自由に
世の音を感じているだけの話ですが
おつきあいいただける方に
そんな見方や感じ方もあるかと
楽しんでいただけるものに
もしなっていけば素敵な旅になるかな
と思っています。
ちなみに我が母は
第六感で生きるド天然の
仏のような方です。笑
八雲立つ出雲八重垣妻籠に
八重垣つくるその八重垣を
風の男須佐之男命のこの恋歌が古事記に記される
日本で最初の和歌です。
出雲の須賀神社の里宮は街道沿い
いくらか町中にありましたが
まるで空に届く柱でも立っているかのような
すがすがしさであったことを覚えています。
令和三年立春
感謝合掌