『破門フェデリコ~くたばれ十字軍~』PARCO PRODUCE2024
2024年8月29日(木)19時
@PARCO劇場
¥12,000
蔵さん主演の舞台に、凛ちゃんと穂先くんが出る!というので勇んでチケットを取った。ずいぶん早い時期に某特別先行抽選予約申し込んで、当選して発券したらめっちゃ後ろの方の席だった。しょぼーん。こんなんなら普通のパルステ先行で取った方が良かったんじゃ・・・。パルステ先行ではいつも良席だったからちょいショックだった。まあしょうがない。チケットは運だからなあ。
『君子無朋』で中国の皇帝を演ったのが3年前。周囲に理解されない孤高の王というのが今回のと似てるなあと思ったら、脚本と演出が同じタッグだった。蔵さんて王様役多いよな・・・『冬のライオン』もそうだし。けどその両方とも個人的にはイマイチ理解がおよばず、楽しみきれなかった印象。アタシの脆弱な脳みそのせい。なので今回もあまり期待はしていなかった。
とゆー訳で。期待はしてなかったんだけど、でも今回は面白かった! 話自体がわかりやすかったし、意外にコミカルなシーン多めで世界史に疎いアタシでも問題なくついていけた。蔵さま素晴らしすぎる~~
※ネタバレあり
いつもの如く何も知らないまま観劇し、観終わってから咀嚼するパターン。フェデリコ2世は8ヶ国語を話し、数学に通じ、膨大な書籍を読破し、様々なアイデアでもって偉業を成した天才だという。100年続いていた十字軍侵攻を止めるために皇帝になる前から雌伏し、イスラム王カーミルと書簡で交渉し無血停戦を成功させた。
芝居だから創作や史実とは違う部分もあるだろうけど、とんでもない天才だしかなり興味深い人物だ。
戦争という無駄をなくしたいという思い。どんな圧力があっても「戦はしない!」と言い切るフェデリコ。平和は人間が作る芸術。争いごとは金と知力を使って解決し、言葉の壁をなくすために世界共通の新しい言語を作ろうとしたり。(言葉を与えられなかった子供達はその後どうなったろう)
誰もできなかった(やろうとしなかった?)停戦は、カーミルとの“友愛”があったからこそ。このふたりの王のやりとりが微笑ましくもかわいらしく。数学の計算、八角形のこだわり。シロクマやキリンをプレゼントしたり、鷹狩りオタクぶりを披露したり。
なのに。愛情深いフェデリコが、息子の理解を得る方法を知らなかったのが悲しい。自分の息子なら当然できるだろう、理解するだろうと思っていたんだよね。普通の人間(秀才であっても)であるハインリヒには天才(父フェデリコ)を理解できなかった。
800年前の話しなんだけど、未だ戦争は無くなっていない。今まさに、フェデリコのような頭首が必要なのに。
流石の蔵さんについてはもう何もいうことなし。すばらしかった。
ハインリヒを演った上田さんという方は初見。パンフでアイドルと知る。うん、よく頑張っていたけど周りが芝居巧者ばかりなのでチト残念だったかな~。気合い入りすぎでマント翻しすぎなのは微笑ましいけど、今際の際が元気すぎるのがな・・・。演出家はアレで良しとしたのかが気になる。
那須凛ちゃんは明確にフィクションな役柄(たぶん)で、まことの王に仕える「常闇の一族」の末裔という設定。急にファンタジーとか冒険物みたいな話になって戸惑った。これ必要? でも凛ちゃんのイザベルは素敵だった。キリッと芯がある女性で、彼女らしい感じ。
フェデリコの憎き敵役であるローマ教皇は六角さん。こいつ~~!と歯噛みするほどの悪人(聖職者の頂点の人間が!)なのに、どこか面白みのあるキャラクター。さすが。(教皇とフェデリコとが出会う回想シーンで、フェデリコが「14歳です」と答えるところは笑った)
田中穂先くんは教皇の忠実な僕、ベリナーボ。あんなに尽くしてもあの仕打ち、可哀想すぎるし教皇は憎々しすぎる。肉叩きで叩きたい。穂先くんは他にも子供たち、兵士、影と八面六臂。アンサンブルに混じっても穂先くんはすぐわかるね。
カーミル役の栗原英雄さん、舞台は初見かな? 威厳と気品があって知的で、めっちゃ王様だった。教皇の謀略にかかるシーンはつい目頭が熱く・・・
残るは福岡公演、どうか最後までご安全に。
作 阿部修英
演出 東憲司
出演 佐々木蔵之介/上田竜也/那須凜/栗原英雄
田中穂先/石原由宇/六角精児 ほか