『夜叉ヶ池』 PARCO劇場
2023年5月9日(火)13時開演
¥11,000
パルステの案内が来て観にいくかどうかちょっと迷った末、結局購入してそのまま忘れてたんだけど・・・しばらくしてカード優待や生協やらで5000円のチケットがバンバン出まくってがっくり。何なのよー、半額以下じゃないの。そんなにチケット売れてないの・・・?
若干の切なさを抱きつつも当日を迎えた訳だけど。
4月初旬からずっと、個人的に忙しい日々であったためココロに余裕がなく。何に惹かれてチケットを取ったかをすっかり忘れていて、実際に観ながら「アーッ、伊達さん出てるッ!」「佐藤誓さんが!」ってドキドキして、そうだったキャスト陣に名前あったわ~なんて今更思ったり。
ぽやーんと観ていて蟹のひとけっこう好きだな、お姫様(おひいさま)佳いわあ~~なんて思ってたんだけど、終演後確認したら蟹は田中穂先くん! お姫様は那須凛ちゃんじゃあないですか! 好きな役者さんがこんなに出てたら、そりゃ観ようと思うよな~。でも観てるのに気づかないとかホント笑うwww でも気づいてないけど良いなと思う自分、さすが好みがブレてないなと我ながら感心したw
この観劇直前に金沢旅行に出かけてきたんだけど、通りすがりに泉鏡花記念館があったので入ったのよね。忙しくて旅行の行程は家人に丸投げしてたんで、偶然通りかかって入ってみたら「あっ、そうだ! もうすぐ夜叉ヶ池だった」と思い出したという。すごいタイミング! もともと泉鏡花に興味はあって、『天守物語』や『高野聖』は舞台を観たり原作を読んだりして。でも原作は言葉が古くて、なかなか読むのに難儀した記憶・・・。
じっくり展示を拝見、色々と興味深くておもしろかった! 金沢旅行を組んだ家人、GJ☆ かと言って物語の予習をした訳でもないんだけど・・・(苦笑)
あらすじに書いてあるのは物語の導入部分で、メインは物怪たちが活躍する百鬼夜行の件(くだり)。導入部分はちょっと冗長だったなあ。若干退屈に感じてたところに、上裸で真っ赤な蓬髪に手足の長い蟹と、ぽっちゃりボディに両手で胸鰭をぴちぴちさせてる鯉が現れた時点で「これは何ぞ?」となり、そして龍神・白雪の登場でウワーッ!となった。
人外が大活躍するスペクタクルに突入してからはもうワクワク。何と言ってもお姫様よ。那須凛ちゃんのお姫様が美しくて妖しくて、でも可愛らしくて最高。姫様お付きの山椿は伊達さんで、禿っぽいお衣装がこれまた愛らしくて佳き。
姫様がセンターに立ち、大勢の眷属を従えての群舞はまるでスリラー(マイケルジャクソンのアレ。年寄りしかワカランかw)。迫力!
眷属を演じてる方々は村人役も演じていて、そのギャップもまた楽しい。大蟹の穂先くんの村人バージョンは胡散臭いインテリ青二才、愛らしい禿の伊達さんは伝法なヤクザ者、てな具合。一粒で二度美味しい。
この演目、せりふは原作そのままの言葉なんだそう。鏡花の日本語が美しいのは確かにそうなんだけど、古い言葉だからなかなか難しい。役者陣はずいぶんと苦労したようだけど然もありなん。でも観ている分には大筋は掴めるので、細かいところは流して聞いていた。それでもちゃんと楽しめたのでOKかな。
つい先ほど原作を読んだけど、聞いただけじゃわからなかった言葉や言い回しがわんさか。辞書を引き引き読んでたら時間がかかった~。100年でこんなにも言葉は変わるんだなあ。
ストーリー自体は簡単でわかりやすいんだよね。読みながら舞台の場面を思い出して、後半は一気に読んでしまった。面白かった。
ラストの洪水のシーンは圧巻で、大きな大きな赤い布を舞台から客席全体にぶわーーーーっと被せて、そのまま後方へ流していったのだ。アタシの席はこの日2列目で、舞台奥から赤い布が来るな・・・と思ってたらあっという間に飲み込まれて。頭上を流れていくサテン地の布を手で送ったよ。ロックのライブでクラウドサーフしてく人を送るみたいに。凄かったなあ。
とても良い観劇体験でした。
泉鏡花の他の作品もまた読みたいな。当時の本は装丁が小村雪岱なのも良いのよね。波津彬子さんのコミックスなら読みやすそうだし。
あとは今年の秋に玉三郎のシネマ歌舞伎の公開があるので、それもちょっと観てみたい・・・風呂敷広げすぎると大変なんだけど。
そうそう、夜叉ヶ池イラストコンテストなるものがあったらしいね。何点かの入選作が劇場内のデジタルサイネージで映されていたのを観て初めて知ったんだけど、もう早く言ってよ~。アタシも描きたかったなあ。なあんて、きっと知っててもたぶん描かなかっただろうな。舞台を観終わった今だからこそイメージわいた訳だしね。