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木ノ下歌舞伎 『三人吉三廓初買』 東京芸術劇場 Presents

2024年9月16日(月・祝)
13時開演
@芸術劇場プレイハウス
¥8,500(早割S席)

木ノ下歌舞伎をいくつか観て、好みの当たり外れはあっても概ね面白いのでチェックはしていた。『三人吉三』は2020年の公演を取ってあったのがコロナで中止になったのよね。やっと観られるなあという気持ち。
まっしーや緒川さんも好きだし、昨年の『勧進帳』でお気に入りになった坂口涼太郎くんもご出演(キャスト変更で後から決定)とあって、楽しみにしていた。
『三人吉三』はアレンジされた作品をいくつか観たけど、今回もまあアレンジはされてるけど歌舞伎に一番近いと思うので、ちょっと気合を入れて観劇に臨む。上演時間が5時間超え(含休憩二回)だし!

数奇な運命に翻弄される若者たち――和尚、お坊、お嬢の“三人吉三”と、現行歌舞伎ではカットされている“商人と花魁の恋”がダイナミックに交錯する鮮烈な群像劇。「当今のシェイクスピヤ(我が国のシェイクスピア)」by坪内逍遥 とも評された歌舞伎作者のレジェンド・河竹黙阿弥による最高傑作の、いまや幻となったオリジナル版の全貌を見られるのはこのキノカブ版のみです。
幕末の動乱期に執筆され、今もなお愛されつづける物語が、同じく変化と激動の現代(いま)を撃つ。これぞ、木ノ下歌舞伎による『三人吉三』の決定版!

公式サイトより

作:河竹黙阿弥
監修・補綴:木ノ下裕一
演出:杉原邦生[KUNIO]
出演:
田中俊介 須賀健太 坂口涼太郎
藤野涼子 小日向星一 深沢萌華
武谷公雄 高山のえみ 山口航太 武居 卓 田中佑弥 緑川史絵
川平慈英
緒川たまき 眞島秀和


長かったけど面白かった。
ざっくりとしたあらすじは知っていたけど、やはり省略されていた部分が多かったんだなと実感。とは言えこれでも原作の半分くらいにコンパクト化してるんだそう。歌舞伎って早朝から1日かけて上演するらしいからねえ。

有名な「大川端庚申塚の場」あたりめっちゃカッコよくてワクワクしたし、ストーリーに無関係な「地獄正月斎日の場」は微笑ましいコメディで笑ったし。切ない結末にグッときて。
みんな誰かのために、良かれと思って行動しているのに(江戸の人は義理に篤いね)ちょっとずつ掛け違ってしまう。どうしてこうなってしまうの。運命の悪戯~。
百両という大金が、あっちへこっちへと巡り巡って物語が二転三転。(江戸っを子は金に執着しないのが粋だね)刀も金も、観ているうちに、どこにやったっけ、アレッこの人が持ってたんだっけと、脆弱な脳みそのアタシは訳がわからなくなったわ(苦笑

面白く観たけど、当時の江戸人たちの感覚とは相入れないところも多くて、そこでまるっとお金渡しちゃう?!とか、まさかそれで殺すなんて?!とか突っ込みたい気持ちに。
当時としてはそうなんだろうけどと飲み込む以外に、こればっかりはど突かずにおれないナンバーワンは文里だよ・・・。

文里さん(眞島秀和)は妻子もある刀剣商だが、吉原の花魁・一重に入れ込んで廓通いした挙句に身上を潰すというダメ男。しかし女房おしづ(緒川たまき)は夫の不義や放蕩にも文句も言わず、一重の産んだ子を育てるという天女のような女性・・・
ってコラ! 分里! ひどい男だ。これはもうど突くしかないだろもう~~! でもまっしーの着流しやら佇まいは素敵すぎてな・・・おしづの気持ちよ・・・
たまきさんのおしづは、もうおうつくしくて。「まいりませうわいの」なんてセリフも趣深い。。。好き。
息子が鉄之助といって小さい子供なんだけど、普通におじさんが演じていて最初は笑っちゃったのに、最後の方では可愛い坊に思えてきたのが不思議。

分里のターンで、終盤は一重さんの最後を見届けるシーンが、切なく悲しい良いシーンだったけど、奥の部屋と玄関口とをチェンジする演出だったのが、妙に間が悪くて興醒めだった。暗転というのか、ちょっと暗くして演者が壁を挟んで行ったり来たりするのだ。今際の際の一重さんが布団を持って移動するの、やっぱちょっと変でしょ。

衣装は、素敵なのもあり、なんじゃいなってのもあり。前の公演でもそうだったけど、着物だったり着物アレンジだったり、スーツだったり、どういう意味があるのか謎のごちゃごちゃさ。
丁子屋で遊女たちが羽織ってる打掛(?)が、掛け布団みたいだったのは何でだろう・・・
お嬢吉三の着物はかっこいいけど、ビニール素材ぽくてめちゃくちゃ暑そうだな・・・
和尚吉三がハーパンなのは何でだろう・・・(ちょっと変)(変だけど和尚吉三はかっこいい)(演じる田中俊介さん、初見だけど良かっこいい)(びっくりして湯桶からアヒルちゃんすっ飛ばすのはあざとい。けどかわいい)

面白かったんだけど、前回の『勧進帳』がすごく良かった分、ちょーっぴり期待しすぎたかなあ。もしくは、かなり悲しい話だったからちょいとしょんもりしちゃったのかも。感想を探ると絶賛する方も多かったけど、満足度としてはまあまあかな~。
貧乏人だからお安い早割の日にしたけど、ケチらずにアフタートークの回にすれば良かったかも。後のワッショイ。
でもこれからも木ノ下歌舞伎はチェックしていくよ。また良さそうな演目があったら観に参る所存~~!


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深月
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