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養豚場のおしごと

知人や友人に「いま養豚場で働いてるよ!」とすると、必ず「どんなことをしているの?」と聞かれます。

畑作業ならまだしも、養豚場での仕事ってなかなか想像つかないみたい。
かく言う私もオーストラリアでのワーホリ中に豚に触れていたとはいえ、たったの10頭を放牧していただけなので、所謂「産業」としての育て方はわからなかった。

母豚600頭、総数7000頭の豚ってどうやって育てているの?
の一部を、私の業務内容をベースにお話できたらなと思います!


人数​

農場の現場で働いている人は、私を含めて7人です。
総数7000頭を、7人で管理しています。

ひとり1000頭を見ています。

これ、初めて聞いたときはめちゃくちゃびっくりしたんですけど、すごくないですか?
1000頭って小学校の生徒数くらいの規模じゃない!それをひとりなんて…!

じゃあ手を抜いているのかと言ったら、もちろんそんなことはないです。
それぞれ担当の部署が決まっていて、毎日豚の様子を観察して世話をしています。
私の担当は分娩舎(妊娠した母豚が赤ちゃんを産むところ)なので、そこでの仕事を紹介しますね!


基本のルーティン

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毎日行うことは、エサやり、産んでいる豚がいたらその処置、子豚の観察、豚舎の温度管理などです。

エサは朝昼2回、レバーを引くと各母豚の上にある給餌機から一斉にエサ箱へと落とされます。おなかを空かせたママたちがエサに一生懸命になるこの瞬間が結構すき。もりもりごはんを食べる中学生男子がかわいい的な感じかしら。

食べ残しはないか、痩せすぎていないか、太りすぎていないかを見ながら、エサの量は1頭1頭毎食調整していきます。


朝のエサやりが終わったら、子豚の観察、処置。
生まれたばかりの子豚は貧血になりやすいので(母乳を飲むことで血液に水分が取り込まれて薄まるため)鉄剤を打ったり、下痢をしていないか、おっぱいは飲めているかなどを見ていきます。

この作業は他の業務の合間に次々生まれる子豚全頭にするので、下痢ちゃんにお注射したりしていると意外と時間がなくなる…!

ぷりぷりパツパツの子が子豚用エサ箱にはまってうたた寝していたり、授乳中でおっぱい争奪戦が繰り広げられたりしていたら、さっとカメラを構えます。


ちなみに、床がすのこ状になっているのでフンは床下に落ちていくのですが、落ちずに溜まってしまったものは定期的にスコップで取り除きます。


みんなで協力する週のルーティン

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各部署それぞれ基本のルーティンがあるのですが、みんなで協力して行う作業もあります。

それが豚の移動。(と、豚舎の洗浄・消毒)


種付け舎から出産間近の母豚を分娩舎へ
離乳した子豚を分娩舎から離乳舎へ
大きくなった子豚を離乳舎から肥育舎へ
そして出荷

豚の成長段階に合わせて小屋の大きさやエサの種類を変えるので、それぞれに合った豚舎へ移動してもらいます。


道を作っておいて豚に歩いてもらうのですが、これが大運動会。
うっかりUターンしてこないように、後ろから「ほい、ほい」と声をかけながら次のお部屋までついていき、入ったら次の豚をまた「ほい、ほい」と追いかけていく。みんなで豚舎をぐるぐると歩きます。

子豚だとプリップリのおしりがたくさんぴょこぴょこしているし、大きくなった豚はちょっと垂れたぶりんぶりんのおしりが一生懸命跳ねていて、かわいいんだ。私は汗だくだけど。


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空いた部屋は、その豚舎の担当が高圧洗浄機で洗浄し、石灰を噴霧して消毒します。

石灰を撒きおわったところは白くてきれいで、ナウシカの腐海の底を思い出すんですよね。


おわりに

ざっくりとですが、こんな感じで農場はまわっています!

エサやりや移動、掃除を一気に行うことで、少ない人数でも多くの豚を観察し、必要であれば何かしらの処置をすることができるような仕組みになっています。

私は日々の作業に慣れてスピードが上がってきたので、もっと豚の細かい変化にいち早く気付けるようになるよう精進しているところです。
健康でプリプリな子をたくさん育てるにはどうしたらいいか、豚がなるべくストレスなく過ごすにはどうしたらいいか勉強していって、皆さんに美味しい豚肉を届けていきます!


この記事で少しでも養豚場の生活が身近に感じてもらえらたら嬉しいな。

豚、かわいいよ。



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