犬連れ旅 初体験記
2023年ももうすぐ半分終わろうとしている。
コロナ前までは年に5回ほど、多い時は10回を超えるほど出張していた。コロナで途絶え、会社員を卒業した今は出張という旅はもうない。
時間の拘束がなくなったのだから、自由に動き回ればいいじゃない。。。
現実は、なかなかそう上手くいかない。
少し前に、夏至の太陽エネルギーの強さに関する記事がいくつか目に留まった。そうだ、このタイミングに乗って、気分転換と共に日常生活のリズムに変化を起こそうと思った。
候補は複数あった。実際に、あるツアーに申し込んだ。しかし、残念なことに、諸般の理由からキャンセル。
いろいろと調べているうちに、葉山にペット同伴可の1棟貸しのお宿を発見。今の自分に1番大切なのは、愛犬と一緒に、自宅ではない別の場所で生活するように時間を過ごすこと・・・これだと決めて、今回の旅が始まった。
犬にとっての旅
犬もいろいろな場所を歩いて、匂いを嗅いで、普段のお散歩道にはない刺激が楽しいだろう・・・と考えていたが、それは人間のご都合主義かもしれないようだ。もちろん犬にも個体差があるから、未知の地の探検に何よりも興奮する犬もいるだろう。でも、それは多分多数ではない。
犬にとって日常を離れての旅はこれらを意味するようだ。
移動のストレス
愛犬は電車に乗れるサイズではないので、旅は車で移動することになる。で、我が愛犬、車酔いするのだ。乗って10分もたたないうちに嘔吐することもある。少しずつ慣れされようと思うが、計画的にやるのは難しい。距離が長い時は犬用の酔い止めを飲ませるが、それでも辛そうなこともある。私も、自分で運転するようになってから大丈夫になったのであって、子供の頃は10分のタクシーでヨレヨレだった。だから、よくわかる。
慣れない場所や人へのストレス
愛犬は、けっこう人見知りだ。しかも、自分がいる場所は自分のテリトリーではない。普段なら、自分のテリトリーに知らない人が入ってくると反応する。が、知らない人、知らない場所で混乱し、疲れてしまう。
食事・トイレ・散歩
食事は、普段通りのものを持参。慣れない食事には、腸がついていけないことを自分自身の身体で体験している。ちょっとフードが変わっただけで食欲を失うほど、食の細い犬ではないが、負担になることは間違いなさそうだ。なので、ドライフードと缶入りのウェットフードを持参。トイレと散歩は普段どおりというわけにはいかないが、もともと排泄は外でしかできないので、人間が状況に対処していくしかない。
大きなハードル
上記の3点は、だいたい理解できていた。いろいろな状況に対処できるように、持ち物をしっかり準備することで対応すればいいし、それしかない。
しかし、我が愛犬には、さらに2つの障害がのしかかってきた。
暑さと足のダメージだ。
出発した日、東京は真夏日越え。葉山も暑かった。車の移動の休憩に外に出ると、暑いのだ。。。足を伸ばして、ちょっと歩いて気分転換、がうまくできない。アスファルトは熱いし、砂浜も足元からじんわり熱気が上ってくる。そのうち、歩くのがキツくなってくる。
もう一つ大きな困難が待っていた。後ろ足の打撲?だ。我が愛犬は、なぜか階段を登るのが上手にできない。体格的に難しくなさそうな階段も、3段を超えると必死感が漂う。一段ずつ登るということがわからないようで、一気に登らなくちゃいけないと思っているフシがある。一段ずつ登らずに一気に登ってしまおうとするので、後ろ足を階段に打ち付けてしまうことが多発する。
階段の材質は、自宅なら木材。外なら土だったりアスファルトの小さな段差だったりするので、大事に至ったことはなかったのだが、お宿の入り口の石段で事故が起こってしまった。
5段ほどしかない石段なのだが、薄暗くて目測を誤ったようだ。一気に登ろうとして後ろ足を強く打ってしまったらしい。ものすごい悲鳴をあげ、しばらく動けなくなってしまった。しばらくして歩き出した様子を見ていると骨折ではないと思うが、それから後ろ足を痛そうにする仕草が多い。なんてことだ。。。
計画の変更がつれてきてくれたもの
葉山は大好きなところ。その昔、逗子に住んでいたこともあって、葉山は勝手に身近に感じている。そして、一度は生活してみたい場所でもある。よく知っていて何度でも行きたい場所、知っているけどなかなかいけない場所、住人になったつもりでご近所探索、などなど。
しかし、愛犬のお散歩のスピードがどんどんゆっくりになる。車の移動中の表情が苦しそうになる。そして足をかばうような仕草が。。。
せっかく海辺まで来たんだけど・・・という往生際の悪さを捨てよう。今回の旅の目的は、できるだけ多くのスポットを巡ることじゃない。愛犬と生活するように過ごしてみることだった。そこに戻ろうということ、それだけだ。
静かな時間の訪れ
愛犬をお宿に残しての外出は禁止と言われたこともあって、近くのスーパーで食料品を買い込み、お宿に戻った。ゆったりまったりな時間の始まりだ。そんな時間のために、持参していた分厚めな単行本2冊のうちの1冊を読み始める。愛犬も体を横たえて休み始める。
本を持ちながら、気がつくとうたた寝。柔らかな風がレースのカーテンを揺らす。ふと、これが本当にやりたかったことだったと気がついた。
少しして、犬の落ち着いた様子を見て、散歩に連れ出してみた。玄関先の石段が怖くなってしまったようだが、抱きかかえて石段を通過すると、普通に歩き出した。自分で散歩道を選んで、ゆっくりながらどんどん歩いていく。安心した。
愛犬のご飯は、いつもと同じ。キッチン付きのお宿だから、スーパーで鶏肉と野菜を少々買って、鶏肉を茹で、その煮汁で野菜スープを作り、いつものドライフードにかけ、鶏肉をトッピング。いつもの食べっぷりで、食に関しては満点でクリアした。
外傷がなかったので病院は頭に浮かばなかったが、明日この近くの病院に予約を入れた。念のため、きちんと診ていただこうと思う。
葉山の小高い住宅地から海を見下ろす
お宿はバス通りから、えっ!ホント?と思うような細くて急な坂道を登ったところにある。住民じゃなければ絶対に来ないところだ。遠くに、小さくではあるが、海が見える。
急傾斜で狭い坂の両脇に見事に住宅が建てられている。このロケーションからこの景色が堪能できるなんて、なんてラッキーな物件!とか、この佇まいが好きとか、私にはここまで車で入ってくる勇気はないとか、この空家欲しい!とか、好き勝手に想像しながら、住民になりきって犬連れでお散歩するのはとても楽しい。
朝は登校途中の小中学生で細い坂道がとても賑やかだ。子育て世代に人気のエリアである証拠。逆に、高齢で体力に自信がないと、この坂道はきつすぎて生活はシンドイかもしれない。勝手な想像がどんどん膨らんでいく。
愛犬の足だけが心配だが、あとはとてもいい時間だ。