【毎週ショートショートnote】沈む寺
その寺は少しずつ少しずつ沈んでいる。けれど、沈んでいる事は住職以外誰も知らない。
寺は人里離れた山奥にあるが、愚痴をこぼすとスッキリすると評判でお参りする人が後を絶たない。
来た時はみな沈んだ顔をしており、お参りしながら愚痴をこぼす。
そこへ住職が茶と菓子を振る舞い、人々の愚痴を聞きながら話をする。人々は住職の話に笑い転げ、帰る頃にはみなスッキリした顔をしていた。
人々が帰ると、本堂の地下でピチャンピチャンと水の垂れる音がする。住職はその音を確かめると満足そうに微笑むのだった。
やがて長い月日が流れた。
山奥の寺には以前と変わらず多くの人々がお参りに訪れる。しかし、以前と比べると随分寺は沈んでしまった。
人々が帰り、ピチャンピチャンと水の垂れる音がした時、突然ズブズブと寺が沈んでいった。住職はその様子を眺めながらつぶやいた。
「人々の愚痴を受け止めてくれたこの寺ももう終わりじゃな。人々の愚痴がしずくとなりこの寺が受け止めておったんだからな」
これからどうするのか当てもないまま住職は静かに山を下りていく。
++++++++++++++
毎週ショートショートnoteに参加します💛
今週のお題は「沈む寺」です。
久々に創作した感じがします。
沈む寺って・・・💦
何に沈めるか悩んじゃいました。
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
もしも、サポートをして頂けましたら、飛び上がって喜びます\(*^▽^*)/ 頂いたサポートは、ありがたく今晩のお酒🍺・・・ではなく、自分を高めるための書籍購入📙などに使わせて頂きます💚